“異常な人”はすぐ隣にいるかも。他人をふりまわすサイコパス、被害妄想が強すぎる、執拗な他者攻撃…

人間関係

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筆者が最初に「この人はおかしいな」と感じる人に出会ったのは、まだ会社に勤務しているときだった。人脈と経験が豊かで、某有名ブランドのロゴデザインから建築デザインまでを手掛け、某音響機器メーカーでは代表的な商品の開発に携わるという幅広い実績を持つその男性は、新規事業の責任者というポジションで迎えられ、年俸も相当の額であった。ところが、その実績の多くが嘘であったことが次第に判明する。厳密に言うと、本人にとっては「本当のこと」なのだ。そう、彼は自分の異常性に気づかない人物だったのである。だから、悪気はない。そんな人に関わってしまったときに読んでほしいのが『自分の「異常性」に気づかない人たち』(西多昌規/草思社)だ。

 

筆者が出会ったような人物は、通常は単なる嘘つきとして扱われてしまう。実際にその男性も、次第に「嘘つき」「詐欺師」という扱いを受け、最後には契約解除になり会社を去っていったのである。

 

筆者は他にも、自分のエピソードを他人のこととして話す人物も知っている。たとえ話のような類ではない。完全に自分ではない他人のこととして話しているのだ。「私はああいう人は好きではないなあ」とまで言い、後日聞いた通りのことをその人物がやっているのを見たときには驚いたものだ。しかも、その件に触れると激昂され、話ができない状態になった。

 

このような人たちは、実際に病名がついていることもあれば、よくわからないこともある。まして素人から見れば、どんな症状がどういった精神疾患なのかは正確には判断できない。身内であれば受診させられるし、その段階で詳細はわかりそうだが、他人の場合は知ることができない。病名から書籍を探すことはむずかしいのが現状だ。本書の場合、症状別にさまざまな異常性を持つ人の症例が紹介されている部分が参考にしやすい。1つだけではなく、一度に複数の症例を知ることができるのだ。

 

本書は、精神科医が治療に当たった患者について書いているもので、具体的な接し方や対策を書いている本ではない。しかし、治療の経緯が書かれているため、素人でも接し方について参考にすることができる。実際に異常性を抱えている人が周囲にいる場合、困るのは、こちらの対応に関係なく敵意を持たれたり逆に好意があると誤解されたりすることだ。本書によると、精神科を訪れる人の多くは「病識」がないらしい。それが怖い部分でもある。勘違いで敵意を持たれてしまうことがあるのは、彼らには相手が非常識な存在でしかないからだ。

 

本書でショッキングだったのは、精神科医でも異常性を持っている人がいるという内容だ。本書でも書かれているが、確かに異常性を持つ人に日頃向き合っていると、自分が正常かどうかわからなくなるかもしれない。そのため、本書冒頭の「正常とはどういうことなのか」という内容も興味深いものがある。正常の定義から入る本書は、精神科医の過酷な環境を垣間見ることができる。よほど自分をしっかり持っていないと、できない仕事ではないだろうか。

 

高齢者の場合、むずかしいのは認知症との区別だ。実際に、認知症によるものか、本来持っている精神の異常によるものか判断しにくい症例は多いという。また、異常性と個性との区別についても判断がむずかしいものはあるのだそうだ。近年、他人との関わり方で疲れてしまう人が多いような気がする。あまりにも噛み合わない、何かがおかしいと感じるときには、異常性に気づいていない、つまり病識がない人なのかもしれない。人によっては攻撃してくる場合もあるので、できれば接点を持たないのが一番だが、会社や学校など接点を持たざるを得ない場合には、本書を参考にしてみてはどうだろうか。

 

 

文=いしい

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