クール+レイル+エレガント! 旅を格上げするリゾート列車「伊豆クレイル」の魅力

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野田隆

新しいリゾート列車「伊豆クレイル」は小田原始発で伊豆急下田を目指す

 

2016年7月16日にデビュー予定の新しいリゾート列車「伊豆クレイル(IZU CRAILE)」。このたび、車両が報道関係者に公開されたので、見学会に参加した。車両の外観や内部を子細に観察すると、随所に新しい試みが見てとれる。

 

車両は、かつて常磐線の特急「スーパーひたち」に使用されていた651系電車4両編成である。JR東日本の観光列車やリゾート列車は、既存の車両を改造したものが多く、電化区間を走行するものは、旧国鉄で活躍した485系電車を改造したものが主力だ。例えば「きらきらうえつ」「ニューなのはな」「ジパング」「宴」「華」などで、それぞれ個性はあるものの、共通したフォルムだ。485系改造とはいっても、車体は原形をとどめないものになっている。

 

これに比べると、「伊豆クレイル」は、JR化後にデビューした車両で、しかも原形の魅力を活かしていることが前例とは異なっている。もはや、485系を改造するにしては老朽化が進みすぎている。鮮烈なデビューがまだ記憶に残っている651系が、第2の「人生」を送る日が来たことに、やはり時の流れを感じる。それでも、スタイリッシュで人気のある651系の原型を活かした改造には、JR東日本自体が、愛着を持っていて、何とか特急車両にふさわしい活躍の場を提供したいとの思いが見てとれるのだ。細かな模様といった変更はあるものの、遠目には白いボディの魅力を活かしている。派手な原色カラーに改装した観光列車が目につく昨今、品よくまとめているのはエレガントで好感が持てる。

 

人気の窓を向いたシートが並ぶ1号車

 

僅か4両の短い編成の車内は、工夫が随所に見られる。1号車には、伊豆急のリゾート21でお馴染の窓を向いたシートが並ぶ。伊豆の鉄道旅行では「定番」とも言えるこの座席配置は、愛好者が多いであろうから、的を射た選択であろう。

 

2号車では飲食物やお土産を購入できる

 

2号車のカウンターとラウンジは、ゆとりのスペースだ。カウンターでは、飲食物やお土産などの販売を予定している。4両編成程度の長さであれば、席を離れてカウンターをのぞくのもそれほど苦にならないであろうし、ラウンジでのイベントを楽しむのも面白そうだ。バスや飛行機では不可能な車内散策は、列車の旅ならではの魅力だ。

 

3号車、テーブル付の個室はグループにぴったり

 

3号車は、グループ旅行に適したコンパートメント(個室)車両。テーブル付きなので食事を楽しんだり、訪問地の地図を広げたりと様々な使い方ができるだろう。部屋の入口はドアではなく、カラフルなデザインの暖簾(のれん)を取り付けてあるのも洒落ている。

 

コンパートメントの入り口、のれんがオシャレ

 

4号車は、一般的なクロスシート車両。普通の座席を好む旅行者もいるであろうから、これはこれでいいと思う。シートの色を海側と山側で替えているのは1号車のシートの色合いと共通で、列車としての統一感がある。

 

全般的に、リゾート列車にふさわしい明るい雰囲気で、とくに若い女性客をターゲットにしている。車内で提供する食事を監修するのは人気女性シェフの秋元さくらさん。どんなメニューが登場するのか期待が高まる。

 

列車ダイヤは、小田原始発で伊豆急下田を目指すのが面白い。東京始発は、すでに「スーパービュー踊り子」や「踊り子」があることだし、新たな選択肢ということで、小田原まで東海道新幹線や小田急ロマンスカー利用など、今までにはない旅程も考えられる。ビュースポットでの徐行や一旦停車も組み込まれ、観光に特化した列車となろう。列車名のCRAILEは、辞書を調べても出てこない造語で、イタリア語を組み合わせて「大人に適した列車」を表すと同時に、COOL+RAIL+ELEGANTをイメージした言葉でもあるとのこと。その名のように、爽やかでお洒落な旅を演出する列車となることを期待したい。

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野田隆

野田隆

1952年名古屋生まれ。長年、高校で語学を教える傍らヨーロッパと日本の鉄道紀行を執筆。2010年、早期退職後、旅行作家として活動中。著書に「定年からの鉄道ひとり旅」「出張ついでのローカル線」「テツはこう乗る」...

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