浪費グセで老後破産… 欲望が煽られる社会で後悔しない生き方とは

ライフスタイル

 

■欲望の報酬系回路が活性化しすぎた末に訪れる、老後破産の罠

 

近年、浪費しすぎる生活習慣を変えられずに老後破産の危機に直面する方が増えているというニュースをよく目にします。たとえば、『週刊新潮』2015年10月1日号(デイリー新潮)では、往年の国民的アイドル天地真理さんや「特命係長 只野仁」などの大ヒット作で知られる漫画家の柳沢きみおさんが、派手な消費を止められずに破産寸前の生活に追い込まれているという取材記事が掲載されています。

 

著名人のように特殊な環境に置かれている人たちだけでなく、一般人である私たちも、老後に破産するかもしれないリスクを常に抱えています。なぜなら、物欲を満たすことは人間にとって無上の“快楽”であるから。したがって、私たちには多少無理な消費であっても都合の良い言い訳を考え、何とかしてその快楽を得ようとしてしまう傾向があるのです。

 

人間は欲望が満たされたとき、あるいは満たされることが期待できるときに、脳内にドーパミンという物質が放出され、得も言われぬ快感でいっぱいになります。たとえば、我慢していた食欲や性欲が満たされるとき、目標に到達して達成感が満たされるときなどには、私たちの脳にはドーパミンが放出され、大きな幸福感を覚えます。物欲が満たされるときも同じメカニズムです。こうして一つ欲望が満たされると、次の報酬を求めて脳内の報酬系回路が活性化します。このようにして報酬系回路が過剰に活性化していくと、私たちはいつしか冷静さを失って欲望を満たすことにとらわれてしまうのです。

 

 

■意志の力だけで浪費癖を止めるのが難しい理由

 

浪費癖も、この報酬系回路の過剰な活性化によって生じます。欲しいものを手に入れた時に覚えた快感がさらなる快感を求め、うっかりしていると欲望はどんどん加速していきます。もちろん適度な範囲で買い物をし、ささやかな喜びを味わう分には問題ないのです。しかし、残念ながら私たち現代人は、欲望が煽られる社会の中で生きています。

 

スマホを握れば、いつどこでも買い物のボタンを押せます。街を歩けば、おいしい食べ物、すてきな商品の広告にさらされます。店に入れば、魅力的なディスプレイと店員の巧みな話術に魅了されます。このように、世の経済は生産―流通―消費の循環の中で回り、買い物は人と社会を明るくポジティブにする行為として奨励されています。

 

こうしたなか意志の力だけで物欲を押さえることは、とても難しいことです。現代社会の中で生きていると、収入が入ればその分消費もしたくなり、一つ物欲が満たされればまたさらに別の物が欲しくなるのが常です。それでも、収入と支出のバランスがとれていれば問題はないのです。しかし、人は確実に年をとり、やがて収入が激減する日がやってきます。しかし、稼いで消費するというサイクルの真っ只中にいるときには、そうした未来を想像しにくいのです。こうして老後に近づいているのに現役時代の最盛期と変わらない生活を続けているうちに、気がつけば老後資金が底をつき、あっという間に破産危機に直面してしまう。こうした悲劇は他人事ではないのです。

 

 

■精神論では無理! 強制的にお金を蓄えるシステムで老後破産を防ぐ

 

では、このような悲劇を回避するためには、どうしたらいいのでしょう? 先にお伝えしたように、私たちは自分の意志だけで物欲に立ち向かい、高度消費社会に背を向けて生きることは困難です。だからこそ、強制的に消費を制限していくしかありません。つまり、積み立てなどのシステムを利用して、老後に使えるお金を強制的に貯蓄に回していくしかないのです。

 

会社員の多くは、厚生年金や共済年金、企業型確定拠出年金などの制度の利用によってそれが可能になります。それ以外の方も、個人型確定拠出型年金(iDeCo)などの年金システムを利用することができます。このように老後のために強制的に積み立て、一定の年齢まで引き出せないシステムを導入すれば、手元のお金の中で安全な範囲での消費を楽しむことができます。

 

浪費癖は、精神論で防ぐことはできません。老後破産を防ぎ、安全で楽しい消費生活を送るためにも、ぜひ強制的にお金を蓄えるシステムを活用して、無理なく確かな暮らしをしていきましょう。

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メンタルケア・コンサルタント

大美賀直子

メンタルケア・コンサルタント。公認心理師、産業カウンセラー、キャリアコンサルタントの資格を持ち、カウンセラー、研修講師としても活動する。現代人を悩ませるストレスに関する基礎知識と対処法を解説。ストレス...

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