日本と違い、保育園と近隣住人との話し合いが成立する国がある

話題

citrus 松田扶美

 

保育園が足りない、保育士が足りないとか、住人が保育園設置に反対とか、日本の場合は解決がまだ遅々としているようだ。

 

子供を自由に遊ばせたいと願う事と、高齢層が静かな環境で住みたいと願うことは、当たり前のことだし、その両方の願いを同時にかなえることは、世界中の都会ではどこでも解決しなければならない問題となる。

 

日本では「あり」か「なし」、裁判で「勝った」か「負けた」、「老人」か「幼児」、「遺憾である」に対して「誰が悪いか」という議論になり解決・妥協・話し合いが少ないのではないかと思う。

 

私の記憶にあるのが、ドイツのどこかの地域で子供の騒音について判決が下されたことだ。「子供の発する声は騒音ではない」と、保育園反対を訴えた住民の意向を退けた。この判決が、この地方だけに有効なのか、州に有効になるか、あるいは国の判決かは覚えていない。対策は確か、保育園側、つまり市が大きな防音壁を築き上げ、駐車場の規則も変えたようだ。

 

その他、スイスの例だと知人の家の近くに幼稚園ができたとき、窓が3重ガラスに変えられたといった。それは、ブロックの中庭で遊ぶ子供の声を遮断するためで、幼稚園が後になって許可されたので、ガラス窓の取替えは大家さんか、市が払ってくれたといった。普通、市内の住居の窓ガラスは2重になっている。私の家は大きなバス・トラム停留所から10m入ったところだが、おかげでまったく静かだ。中庭の反対側の窓を開けておけば解決できる。

 

あるいは、住人と保育園が話し合い、時間を取り決めたところもあった。老人が多い地区だったので、昼寝をする時間と、子供が外で遊ぶ時間を厳守する事、反対側に老人娯楽サロンを作ることやその間に買い物に行きやすくすることなどだ。チューリッヒの場合は、15人ぐらいの小さな保育園がいたるところにあり、歩いて通うことが基本だ。ごく普通の4階建て都会住宅の地上階に、商店、オフィスのようにある。中庭が遊び場になる。

 

フィンランドでは、大人も子供も大きな声で怒鳴ったりしない。小さな子供だからといっても、声を張り上げて良いというのではなく、感激を違う形で表現させると聞いた。だから保育園や遊園地の騒音問題はないとも言う。幼児や児童は思い切り大きな声で自由にさせてやるのが、人間的で自然であり、親の義務であると疑わない日本人も、こんなフィンランドのような国もあることを知ることだ。彼らがどんな変な、人間らしくない大人になっているか調べてみると良い。私の知るフィンランド人3人は、皆特別に教育熱心で物静かなパニックのない人たちだ。しかし情熱はある。

 

このような争いはこちらでもたくさんあった。ネットで調べれば、いろいろな解決方法や例が出てくる。日本でも、100%どっちが良いというのではなく、直接話し合い、理解し、対策が練られないものだろうか。

 

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松田扶美

チューリッヒ(ドイツ語圏スイス)在住41年。 現代創作舞踊家。国際振り付けコンクール入賞・チューリッヒダンス文化賞受賞。 2003年、スイス・ダンサー・振り付け賞(スイス現代舞踊協会、プロダンス)生涯賞として受賞。 チューリッヒ芸術大学(ZHdK)演劇学部教授退官。現在年金生活者。 著書に、 『片道だけのパスポート スイスの36年』 (北海道出版企画センター 2009年) があります。

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