かつての親友と比べられてツラい… 妻へのささやかな抵抗とは

人間関係

 

 

夫婦の力関係は微妙なバランスの上に成り立っている。そのバランスがふと崩れるのは、どちらかが今までの役割に不満を持ったときかもしれない。イマドキの夫たちが妻に反抗したくなるのはいったいどういう場合なのだろうか。

 

 

■他人と比べられたとき

 

老若男女を問わず、誰かと比べられるのはイヤなもの。しかもそれが自分の友だちとなればなおさらだろう。

 

「大学時代の親友と比べられてカチンときましたね」

 

そういうのはシゲルさん(48歳)。親友のナオキさん、そして妻・キョウコさんとも大学の同期生だった。当時、3人は仲がよかったが、シゲルさんもナオキさんも暗黙の了解として、キョウコさんには告白しなかった。どちらかがつきあい始めれば、3人のバランスは崩れてしまう。

 

「卒業後、ナオキは就職した会社の研修で関西へ行き、そのまま大阪に配属されました。僕とキョウコは東京で就職。そういうこともあって自然と僕たちはつきあい始め、5年後に結婚したんです」

 

結婚当時、ナオキさんは海外に赴任していた。結婚式には祝電が届いたという。一時帰国した際は、もちろんシゲルさんの家に遊びにも来た。

 

「その後、ナオキは2度結婚したけど2度とも離婚。その後、あまり連絡をとらない時期もありましたが、40代になってからまたよく会うようになったんです」

 

妻のキョウコさんは、ナオキさんとふたりだけで会うこともあるようだ。何とも思っていないと言いながら、実は複雑な思いをシゲルさんは抱えている。

 

「当時のことを考えると、ナオキとキョウコは、本当は一緒になりたかったのではないか。そう思うことがあるんですよね。だからつい先日、彼と会ってきたと話した妻が、『ナオキはあなたと違って、本当におしゃれなのよね』と言ったのを聞いて、思わずカッとしました。でもそこで怒ると小さい男だと思われる。だから、『オレはおしゃれになれるほど稼いでないからな』とイヤミを言うにとどめました」

 

 

■女友だちにつきあってもらって

 

シゲルさんは、ナオキさんとキョウコさんとの関係を疑ってはいない。今さらそんなことをするはずはないと信じている。だが、男としてナオキさんを褒めそやす妻の態度が気に入らないのだ。その後、久しぶりに3人で会おうということになった。

 

「そこで女友だちにつきあってもらって、カジュアルな服装をチョイスしてもらったんですよ。僕はやはりスーツ以外の服装にはまったく自信がなくて」

 

安くてかっこいいものは女友だちの目を通したほうがいい。そう思って買い物に同行してもらった。帰宅してから、服はこっそり自分のクローゼットに隠した。

 

「いざ3人で会おうとなった週末、それを着ていたら、妻が『どうしたの、それ』って。今日のために買ったんだよと自慢気に言ったら、妻は鋭くて『女の人に選んでもらったでしょ』と。『店員さんにね』とさりげなく流しましたが、ちょっとうれしかったですね」

 

ささやかな妻への抵抗。そうやって小さな火花を散らしながら男は沽券を守ろうとしているのかもしれない。ただ、この話にはオチがある。

 

「3人で会ったら、ナオキはさりげなく高いものをナチュラルに着こなしていましたね。そりゃそうですよね、彼は独身貴族ですから。太刀打ちできないなと思いました」

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ノンフィクションライター

亀山早苗

明治大学文学部演劇学専攻卒業後(専攻は歌舞伎)、雑誌のフリーランスライターに。 ライター歴、もうじき30年。離婚歴1回の現在独身。長い間、男女関係に興味を持ち続け、さまざまな立場の男女に取材を重ねてきまし...

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