震災の後、結婚が増えるのはなぜか?

話題

 

■東日本大震災で話題となった「絆」


5年前の2011年3月11日に起きた東日本大震災の後、多くのカップルが結婚し「震災婚」と話題になりました。

震災後には、普段会話があまりなかった家族間にふれあいが戻り、付き合いが少なかった隣人同士が助け合うことになりました。すっかり希薄になっていると言われていた家族や友人、そして地域での人間関係が密になったことで、「絆」の大切さを多くの人たちが口にしました。

そうした状況の下、結婚を考える女性が増えたといわれています。実際に大手の結婚相談所で成婚退会者が増えた、といったことも取り上げられました。

これは、震災という、経験したことのないとても不安な状況下で、大きな恐怖に襲われ、「誰かと一緒にいたい」という強い欲求が生まれたからではないでしょうか。そして、そうしたときに独身の方であれば、一緒に暮らす夫や妻、そして家族が欲しいと思い、人生をともにする伴侶を求めて「結婚したい」と思うのは、とても自然なことでしょう。また、こうした傾向は、女性に強くあらわれるようです。
 

 

■震災のときの相手の思いやりで結婚を決意するケース


私が運営するAZCOブライダルサロンの会員の女性にも、震災後、結婚を迷っていた男性との結婚を真剣に考え始めたり、「もう、結婚はしません」と結婚を諦めていた女性が、パーティで出会った男性と3カ月で結婚を決めるなど、結婚する女性が多くいらっしゃいました。

結婚を決めたきっかけは人それぞれですが、震災の時に自分を気遣ってくれたことで、関係を改めて見直して結婚を決めた、という女性が少なくありませんでした。こうした緊急時に頼りになる男性は、女性にとって信頼がおけ、魅力的であることは間違いありません。

私が定期的に開催しているカラットパーティに何度か参加していた石野雪奈さん(仮名/35歳・福島県)も、震災後に結婚を決めた一人です。雪奈さんは、20歳のときに実家を出て、金融機関で働きながらずっと一人暮らしをしていました。3月11日はたまたま有給休暇で自宅にいて、激しい揺れに襲われたそうです。古いアパートだったこともあり、経験したこともない突然の揺れに驚き、揺れが収まった後もしばらく何もできずに部屋の中で呆然としていました。

そこに、高校時代からの友人、立野真治さん(仮名/35歳)からメールが入りました。

「大丈夫だった?」という短いメールでしたが、雪奈さんは本当にうれしかったと言います。すぐに「ありがとう。大丈夫。怖かった。そっちは?」と返信した後は、とても落ち着いた気分で、地震でものが散乱している部屋を片付け始めたといいます。

真治さんとは、高校生のときから、つかず離れずのつき合いで、同級生仲間の一人、といった関係だったそうですが、このメールをきっかけに、雪奈さんにとって特別な存在となりました。

雪奈さんは自立心が強く、早くに家を出るなど「一人でも生きていける」と考えていました。安定した仕事に就き、マイペースに独身生活を楽しんでいました。特に不安もなく、「このまま独身でもいいな」と、ぼんやりと自分の人生を考えていたといいます。

でも、この震災がきっかけで急に不安になったのです。このまま年をとって、両親が亡くなったら、どうなってしまうんだろう……と、今までは感じたこともない心細さで押しつぶされそうになり、余震も続く中、眠れない日々が続きました。

そして、震災の日以来、メールでやりとりを続けていた真治さんに、こうした不安な気持ちを伝えたのだそうです。すると、真治さんから、「俺のマンションで一緒に暮らさないか?」と、思いもかけない言葉を受け取りました。それから、2人は同棲を始め、半年後には結婚をしました。雪奈さんは「もし、あの震災がなければ、きっと一生結婚しなかったと思います」と言いながら、「でも、結婚してよかった」と、とても幸せそうでした。
 

 

■震災は多くの独身女性の「結婚観」を変える

 

震災後、結婚願望が高まった女性は多く、「一人が怖い」「一緒にいてくれる家族が欲しい」と考える女性は増えました。「いざというとき自分を守ってくれる存在」を求めて、家族になる「結婚相手」を本気で探し始めたということなのでしょう。絆を求めたことから「絆婚」とも呼ばれる「震災婚」が増えたのは、震災が多くの独身女性の結婚への意識を変えた結果なのかもしれません。

こうした影響は被災地だけでなく、都会でひとり暮らしをする働く女性にも及びました。「もし、私が被災したら……」と考えた女性は少なくありません。東京でも大きな揺れがあり、不安を感じた独身女性も多く、婚活や交際している彼との結婚を積極的に考え始めたケースは増えました。

今回の2016年4月14日に熊本県及び大分県で連続して発生した一連の地震は、まだまだ余震が続いている状況で収束していません。こうした状況下で、心細さや不安を抱えて過ごされている方たちが多くいらっしゃいます。改めて「頼れる存在」「安心できる存在」が身近にいらっしゃることが、どれほど心強いものかを実感されている方も多いのではないでしょうか。

夫と妻がお互いを心配し、思いやることが夫婦関係の基本です。こうしたことを災害時だけでなく、普段の生活でも大切にできていれば、夫婦関係は良好なはずです。

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結婚離婚カウンセラー

岡野 あつこ

All About「離婚」ガイド。TVのコメンテーター、雑誌取材も多く結婚離婚相談実績は27年3万件以上。岡野あつこのライフアップスクールも現在迄に2000人以上の門下生を創出する名門となっている。夫婦問題の悩みを解...

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