6ヶ月でできなかったことが3日間できた? 外国人が見た日本のフシギとは

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「日本のお祭りには伝統、文化、歴史、美意識、人の情熱、すべてが凝縮されているんです。だから私は日本のお祭りに魅せられてしまいました」

 

トルコ生まれのDOGAN MESUT(ドーアン・メスット)さん(36歳)はそう話す。今やsuper祭り合同会社という会社まで作って、日本のお祭りを世界に発信している。

 

 

■きっかけは仕事で移住した小豆島

 

イスラエルやアメリカで観光ホテルの経営学を学び、30歳のときに来日。ホテルのフロントマネージャーとして、日本人の妻と子どもとともに小豆島に移住したのが4年前。仕事だけではなく、地元に馴染みたいと思っていたが、日本人はシャイなのか話しかけてもなかなか親しくなれなかった。

 

「4月に移住したその年の10月に、太鼓祭りというものがあるから出ないかと言われたんです。なんだかよくわからないけどお祭りなら出てみようと思って。そうしたら私の日本での生活が180度変わってしまいました」

 

彼が祭りで感じたのは、上下関係がないこと、よそ者も受け入れてもらえること、そして地域社会と密なコミュニケーションがとれることだった。

 

「6ヶ月かけてもできなかったことが、祭りの3日間ですべてできてしまった。祭りに入れば、職業も肩書きも関係ない。私は外国人だからなかなか受け入れてもらえなかったのに、祭りでは大歓迎された。そしてそれ以降、地域の人たちともものすごく仲良くなれた」

 

それをきっかけに、ドーアンさんは日本全国の祭りに興味をもち、時間が許す限り、あちこちに出かけていった。

 

 

■御神輿を担ぐ楽しさ

 

昨年、横浜に越してきてすぐ、彼はジョギングをしようと外へ出た。すると祭り囃子が聞こえてくる。3つの御神輿が近づいてくるのが見えた。

 

「血が騒いだんです(笑)。近くまで行って御神輿と一緒に歩きました。最初は怪訝な顔をされましたが、ずっと一緒に歩いていたら、担がせてくれて。目の前にたまたま神主さんの息子さんがいて、私がお祭り好きだとわかったようです。それを日本では“お祭りバカ”って言うんだよとあとで言われました。御神輿は重いし痛いし狭いし、苦しいことだらけ。だけどみんな笑顔で担いでる。そのうち私も楽しくなってきて、気づいたら笑顔になっていた」

 

数時間後、これで仲間だとみんなが言ってくれ、彼はみんなでわいわい騒ぎながら塩をつまみに枡酒を飲んでいた。御神輿の担ぎ方の種類や、それぞれのお祭りの発祥や意味などを研究しているドーアンさんは、今では祭りについての講師として招かれるようにもなっている。

 

筆者が最初に彼を見かけたのは、熊本県天草の牛深ハイヤを踊っているところだった。ノリのよい軽快な踊りに魅せられた。実際、牛深まで行って勉強し、東京牛深ハイヤの会の会員にもなっている。さらに現在は、外国から来る観光客のために「日本の祭りを体験するツアー」も催している。まだまだビジネスとしては小規模だが、ただ祭りを見るだけではなく、歴史的な意味を知った上で体験できるツアーは「より日本のことがわかる」と評判だ。

 

「日本のお祭りはどれも美しくて感動的。それを外国から来る観光客にもっともっと広く深く伝えていきたい」

 

ドーアンさんの話を聞いていると、こちらが知らないことばかり。彼の発信によって、日本に住んでいるわれわれも、もっと関心をもつことができるようになりそうだ。

 

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ノンフィクションライター

亀山早苗

明治大学文学部演劇学専攻卒業後(専攻は歌舞伎)、雑誌のフリーランスライターに。 ライター歴、もうじき30年。離婚歴1回の現在独身。長い間、男女関係に興味を持ち続け、さまざまな立場の男女に取材を重ねてきまし...

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