前田健さん「突然死」。40代の突然死が、男性に多くて女性に少ない理由とは

ヘルス・ビューティー

清水なほみ

 

 

マエケンこと前田健さんの突然死は、年齢的にまだ44歳ということもあって多くの方が驚かれたようですね。40代の突然死は決して多いわけではありませんが、心血管系の病気のリスクが高くなってくるのが40代以降です。特に、肥満・喫煙・高血圧・高脂血症・糖尿病などのリスク因子を持っている人は、「まだ若いから」といって油断していると、徐々に積み重なってきた体への負担が突然このような重大な病気を引き起こしてしまいかねません。

 

実は突然死は男性に多いのです。40~50代の突然死の数を見ると、男性は女性の約2倍となっています。これには、女性が「あるもの」に守られているという理由があります。それは「女性ホルモン」です。女性ホルモンはコレステロールや血糖値が上がるのを防いだり、血管の壁が固くなるのを防ぐ働きがあります。つまり、突然死の原因となる心血管系の病気のリスクを下げてくれるのです。そのため、閉経前の女性は男性に比べて高脂血症や糖尿病のリスクが低く、動脈硬化も起こりにくい状態になっています。

 

また、女性ホルモンの働きがある間は、突然死を引き起こすような過度のストレスが心身にかかった時、まず「月経不順」というわかりやすい形でサインが出てきます。なので、無理に無理を重ねて限界まで来て突然ばたっと倒れるというケースは少なく、その手前で月経不順やホルモンの乱れによる何らかの体調不良を感じて受診することの方が多いと推察されます。一方男性は、いくら負担がかかりすぎていても女性の月経のようにわかりやすいサインが出ません。そのため、本人が気づかないうちに限界を超えてしまって、ある日突然シャットダウンしてしまうという事態が起こりえるのです。

 

男女ともに、突然死のリスクとなりうるのは以下のような因子です。

 

  1. 1日10時間以上仕事をしている
  2. 深夜勤務や早朝勤務、休日出勤、出張が続いている
  3. 職場の人間関係がうまくいっていない
  4. 最近、ミスやトラブルが続いている
  5. 喫煙習慣がある
  6. 朝食を欠食することが多い
  7. 動物性脂肪を好む
  8. 睡眠時間が5時間以下
  9. 運動をする習慣がない
  10. 生活習慣病にかかっている(治療をしている)
  11. 肥満傾向である

 

女性の場合、喫煙の影響が男性に比べて大きく出るため、禁煙は心血管系リスクを減らすためには最重要項目といってもいいでしょう。また、女性は閉経後に心血管系の病気のリスクが高くなります。女性ホルモンの恩恵を受けなくなることで、急に高脂血症になったり動脈硬化が進んだりする可能性があるのです。適切な時期にホルモンを補うことで、これらのリスクを下げることができるというデータもあります。

 

日頃から自分の健康を過信せず、上記のリスクをできるだけ減らして、定期的な健診で自分の状態を把握しておくことが、突然死のリスクを下げることにつながります。「このくらい大丈夫」と思わず、自分の心身のちょっとした変化に向き合う姿勢が何よりも大切だと思われます。

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清水なほみ

女性医療ネットワーク発起人・NPO法人ティーンズサポート理事長。日本産婦人科学会専門医で、現在はポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長。女性医療の先駆者の下、最先端の性差医療を学び、「全ての女性...

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