途中駅で分割併結する“ニコイチ列車”。どれくらいあるのか調べてみた

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野田隆

東武鉄道が2017年春にデビューする新型特急リバティの概要を発表した。この車両は3両固定編成を2本併結した6両編成を基本とし、途中駅で分割併結を行い、目的地を目指すのが特徴となっている。東武鉄道の分割併結といえば、6050系を用いた浅草発の快速電車が下今市で東武日光行き(2両)と新藤原、会津田島行き(4両)に分かれ、さらに新藤原で2両が切り離されて、最後は2両だけが会津田島へ向かうといった作業を毎日繰り返しているけれど、特急では初めてのことである。こうした分割併結を行う列車、とくに優等列車は、現在どのくらいあるのか調べてみた。

 

E5系はやぶさとE6系こまち併結列車

まずは、新幹線。東北新幹線のE5系「はやぶさ」とE6系「こまち」が併結して走り、盛岡で分割し、それぞれ新函館北斗、秋田に向かう。「やまびこ」と「つばさ」も併結して福島まで走り、盛岡や仙台方面と山形や新庄方面に分かれるのは、ご存じの方も多いであろう。塗装の異なる編成同士がつながっているのは目立つので、ホームで撮影する人は鉄道ファンに限らない。

 

「成田エクスプレス」は、池袋や新宿方面からの車両と大船や横浜方面の車両が東京駅で分割併合を行う。東京駅の地下ホームで連結作業を興味深く見つめる人をよく見かけるが、外国人の姿も多いのは、さすが空港アクセス特急である。

 

早朝の岡山駅で分割される「サンライズ瀬戸・出雲」

唯一の寝台特急となった「サンライズ瀬戸・出雲」。その列車名のように2つの列車が連結されて東海道本線と山陽本線を、夜を徹して走り、朝の岡山駅で四国の高松へ向かう「サンライズ瀬戸」と伯備線経由で山陰の出雲市へ向かう「サンライズ出雲」に分かれる。

 

東京から伊豆へ向かう「踊り子」。185系で運転される列車には、伊豆急下田行きと修善寺行きが併結されているものがある。平日は2往復だが、週末になると運転本数が増えるのは行楽客がメインだからであろう。東京方面からやってきた列車は熱海で分割され、10両は伊豆急下田行き、5両は修善寺行きとなる。

 

名古屋発と大阪発が併結する「ワイドビューひだ」は1日1本のみ

飛騨の小京都高山へ向かう「ワイドビューひだ」は、ほとんどが名古屋発であるが、1日に1本だけ、大阪発の列車がある。東海道本線を進み、岐阜で名古屋発の列車と連結される。単純に連結されるのかと思いきや、大阪発の車両は下車する人を降ろすとドアが閉まり、一旦元きた方向に戻って側線で待機し、名古屋発の車両が到着すると、再度前進して、ようやく連結される。関西方面から高山へ向かう観光客にとっては、乗り換えなしに高山へ行けるのはありがたいことであろう。

 

京都発で山陰本線と舞鶴線経由東舞鶴行きの特急「まいづる」は、京都と綾部間は、特急「きのさき」あるいは「はしだて」と併結運転を行っている。多くは、287系電車が使用されるけれど、一部にKTR(京都丹後鉄道)のディーゼル特急車両(愛称「タンゴディスカバリー」)が充当され、そのユニークな風貌が際立っている。

 

併結したフル編成で走る「しおかぜ」

JR四国にも分割併結列車がある。岡山発の「しおかぜ」は瀬戸大橋を渡り、宇多津で高松からやってきた「いしづち」を併結して松山へ向かうのである。岡山を出る時は、5両編成の先頭車は流線型なのに、最後尾は通路ドアのある貫通型で形状が異なるのは、併結を考慮したためである。宇多津で2両ないし3両編成の「いしづち」が連結されると、編成の最後尾も流線型車両となり、すっきりした形となる。なお、年末年始などのハイシーズンには、岡山を発車するときは8両編成で出発し、宇多津では、高松発の列車と待ち合わせはするものの連結作業は行わない。連結の様子を見たい人は、がっかりするかもしれない。

 

土讃線の高知方面へ向かう岡山発のディーゼル特急「南風」も、「しおかぜ」同様に宇多津で高松発の「しまんと」と併結する列車が1日に何本かある。こちらは「南風」が3両編成、「しまんと」が2両編成と短い。

 

さらに、徳島行きの特急「うずしお」は、多くは高松と徳島間で運転されるが、岡山発着の列車が1日2往復ある。この場合、岡山~宇多津間は「南風」と併結運転である。余談だが、宇多津で進行方向を変えて高松へ向かい、高松で再度進行方向を変えるという興味深い運転方法である。

 

JR九州では、博多から佐世保線に直通する特急「みどり」と「ハウステンボス」が併結運転である。早岐で4両づつに分かれ、佐世保行きの「みどり」、「ハウステンボス」は大村線に乗り入れ、その名の通りハウステンボスが終点である。

 

かつての国鉄時代には、多層立て列車といって、3つ以上の目的地に直通する複雑な分割併結を繰り返す急行列車が数多くあった。時代の流れと共に、面倒な車両の分割併結は激減したけれど、調べてみると、特急列車に関しては予想以上に多くの列車が存在していた。乗ることがあれば、分割併結作業を停車時間中に観察してみるのも楽しいものである。ただし、夢中になりすぎて乗り遅れることのないよう、発車時間には充分注意したい。

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野田隆

野田隆

1952年名古屋生まれ。長年、高校で語学を教える傍らヨーロッパと日本の鉄道紀行を執筆。2010年、早期退職後、旅行作家として活動中。著書に「定年からの鉄道ひとり旅」「出張ついでのローカル線」「テツはこう乗る」...

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