「母」への対応がヒドすぎる… 妻への恨みを抱えて生きていくのがつらい

人間関係

 

人生は選択と決断の連続だ。選択し損なったこと、決断できなかった道には必ず後悔が残る。どう生きても結局、人は後悔の連続なのかもしれない。だが、それが人生のパートナーへの恨みにつながるとしたら……。

 

 

■母を引き取ることを拒絶した妻

 

今から3年前、タカシさん(48歳)の母が、ひとり暮らしの自宅で倒れた。運良く近所の人が見つけてくれたが、脳梗塞で麻痺が残った。

 

「もっと早く病院に行っていれば後遺症が残らずにすんだと聞いて、なんだかせつなくて。母は父に死なれてひとりで僕を育ててくれた。もっと早く同居すべきでした」

 

後遺症が残った母を引き取りたいと妻に言った。当時、子どもたちはふたりとも小学生。妻もパートで働いていたから、もちろんむずかしいとわかってはいた。だが、その話を聞いたときの妻の態度が問題だった。

 

「何言ってるの、という感じだったんです。いろいろ検討してみようという感じは微塵もなく、完全却下。同情すらしていない。それはそれでショックでしたね」

 

彼は奔走して、ときどき通える範囲の施設を見つけ、実家を処分して母を入れた。以来、週に数回は通っている。リハビリのかいもあって、母は歩行器で少し歩けるようになっているから、外に食事に連れ出すこともある。母の笑顔を見るだけで、タカシさんの心も和む。

 

ところが8ヶ月ほど前、今度は彼女の父親が倒れた。その看護で母も体調不良に。すると妻はいきなり母を自宅に連れてきたのである。

 

 

■突然、同居が始まった

 

6年前に中古マンションを購入したが、間取りは3LDK。高校生の息子と中学生の娘がそれぞれ一部屋、もうひとつは夫婦の寝室だ。妻は何の相談もなく、そこに母親を同居させた。

 

「僕のときは問答無用で却下したのに、自分のときは相談もなしにいきなり連れてきて同居。お義母さんは気が弱くなっているから、文句も言えない。それ以来、僕はずっとリビングの隅に布団を敷いて寝ています。最初はソファで寝ていたんだけど体が痛くて休まらない。妻は『おかあさんの体調が戻ったら、自宅に帰すわよ』と言っていたんですが、もう半年以上、こんな生活が続いています」

妻は母親からじゅうぶんな食費はもらっている、かえってありがたいくらいだと言うが、家計を任せているタカシさんからすると、「本当かどうかわからない」とか。

 

週末は、施設に入った妻の父親の見舞いのために車を出してほしいと言われることも増えた。

 

「最近は、自分で運転すればいいだろうと言って、僕は自分の母親のところへ行くこともあります。客観的にみて、それぞれが自分の親をみるしかない状況。だけど妻はこちらには協力しないで、自分のほうだけいろいろ要請してくる。このところ、妻への恨みが募っているんですよね……。決して自分たちの家庭にとっていいことではないのだけど」

 

子どもたちや妻の母の手前、タカシさんが不機嫌になるわけにはいかない。だから家庭は「必死に演技をする場」になっているそうだ。

 

「ただ、救いは高校生の息子。ときどき、僕と一緒に母のところへ行ってくれるんです。先日、ふっと『僕にとってはふたりともおばあちゃんなんだよね』と。僕が文句を言わずに耐えていることを、彼はわかってくれているのかなと思いました」

 

少子化と高齢化の波は、ひとつの家庭にもさまざまな影響を与えている。

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ノンフィクションライター

亀山早苗

明治大学文学部演劇学専攻卒業後(専攻は歌舞伎)、雑誌のフリーランスライターに。 ライター歴、もうじき30年。離婚歴1回の現在独身。長い間、男女関係に興味を持ち続け、さまざまな立場の男女に取材を重ねてきまし...

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