食わず嫌いはもったいない『ガンダム00』! 主人公は○○殺害という凄惨な過去を持つ

エンタメ

昌谷大介

 

『機動戦士ガンダム00(ダブルオー)』(以下、『00』)は2007年にテレビのファーストシーズン、2008年にセカンドシーズン、2010年に劇場版が公開されたシリーズ。

 

本作は、ガンダムシリーズで初めて現実の暦である西暦が採用されており、ファーストシーズンは放送開始当時の300年後となる2307年が舞台。主人公(ガンダムマイスター)たちが武力によって戦争根絶を目指す物語でした。

 

 

■主人公たちは“武力介入による戦争根絶”という矛盾を抱える

 

ガンダムファンは、勧善懲悪ではない対立構図をはじめとした練り込まれた設定、細部にまでこだわった生々しい戦時中の描写、そして思惑が交差して愛憎入り乱れる人間模様などを魅力と感じている方は多いと思います。

 

ですから、ガンダムシリーズはなかなかヘビーな設定や物語である作品も多いのですが、その中でも一、二を争うのが『00』なのです。

 

まず、主人公でありガンダムマイスター(ガンダムパイロット)の刹那・F・セイエイのバックボーンが、ともかく壮絶……。

 

刹那はファーストシーズン当時16歳ですが、要所要所で彼の少年期のシーンも描かれます。そこで明かされるのは、中東出身の刹那は生身の状態で銃を持ち、反政府ゲリラ組織の少年兵として戦場を駆け巡っていたこと。そして、当時は洗脳されており、神への信仰のためと思い込み、実の両親を己の手で殺害していること……。主人公の少年が戦争に巻き込まれるのはガンダムシリーズではお馴染みの展開ですが、洗脳を受け両親を殺してしまっているという過去は、かなりの衝撃でした。

 

さて、そんな『00』の世界は、エネルギー問題などで対立する世界三大国家による三つ巴の構図でスタートします。その三大国家とはアメリカを筆頭とした「ユニオン」、新ヨーロッパ共同体である「AEU」、中国やロシアのアジア部分などから構成される「人類革新連盟」。エネルギー問題といい、三大国家の対立構図といい、現実世界の社会情勢の地続きであることを感じさせる設定ですよね。

 

そして、その三つ巴状態の世界三大国家に対し、刹那が所属する私設武装組織・ソレスタルビーイングは、超強力な兵器・ガンダム4機により“武力介入による戦争根絶”を目指すのです。

 

……“武力介入による戦争根絶”。このフレーズを聞いて、矛盾してないか?と思った方は正解です。戦争のない平和な世界を目指す集団であるにも関わらず、その方法は武力による強制的戦闘中止なのです。主人公たちが、“平和のための武力行使”という大きな矛盾を抱えているのが『00』という作品なんですね。

 

ただでさえ三つ巴という複雑な対立構図が下敷きにある世界観。そして、戦争や紛争や内乱など世界中のあらゆる争いに、強大な武力(ガンダム)によって介入していくソレスタルビーイング。ソレスタルビーイングの登場により、世界はより混迷していく――これが『00』の物語なのです……!

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昌谷大介

編集プロダクションA4studio(エーヨンスタジオ)代表。ライター・エディター・映像クリエイター。1979年、神奈川県生まれ、大正大学 文学部 日本語・日本文学科卒業。『週刊プレイボーイ』(集英社)、『ダイヤモン...

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