食わず嫌いはもったいない『ガンダム00』! 劇場版はガンダム初の地球外生命体が敵!!

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昌谷大介

 

『機動戦士ガンダム00(ダブルオー)』(以下、『00』)は2007年にテレビのファーストシーズン、2008年にセカンドシーズン、2010年に劇場版が公開されたシリーズ。

 

本作は、ガンダムシリーズで初めて現実の暦である西暦が採用されており、ファーストシーズンは放送開始当時の300年後となる2307年が舞台。主人公(ガンダムマイスター)たちが武力によって戦争根絶を目指す物語でした。

 

 

■人類ではない敵…言葉も感情も通じない“地球外変異性金属体”

 

テレビシリーズから2年後(西暦2314年)が舞台となる劇場版『機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』(2010年公開)は、ガンダムシリーズ初の“地球外生命体”が敵として登場する物語。

 

こうやって説明すると、『00』シリーズ自体がイロモノ作品なのかと思われる方もいるかもしれませんね。けれど『00』のテレビ版は、現実世界の戦争・紛争の地続きであることを強く意識した、ガンダムシリーズの中でも屈指のリアリティを持った世界観で人気だったのです。

 

『00』のテレビ版は、エネルギー問題などで対立する世界三大国家による三つ巴の構図でスタートします。その三大国家とはアメリカを筆頭とした「ユニオン」、新ヨーロッパ共同体である「AEU」、中国やロシアのアジア部分などから構成される「人類革新連盟」。エネルギー問題といい、三大国家の対立構図といい、現実の世界情勢を色濃く反映させていると言えるでしょう。

 

そして、その三つ巴状態の世界三大国家に対し、主人公たちが所属する私設武装組織が、超強力な兵器・ガンダム4機により“武力介入による戦争根絶”を目指すという物語だったのです。また中東出身の主人公は、反政府ゲリラ組織の少年兵として戦場を駆け巡っていたという、生々しい描写もたびたび挿入されていました。

 

そう、テレビ版は、ガンダムシリーズの中でも屈指の“リアルな世界情勢とその戦争”を描いていたのですが、その2年後を舞台にした劇場版は敵が“地球外生命体”だという超絶展開だったのです……! もちろん、劇場版で急にイロモノ色が強くなったなんてことはなく、“地球外生命体”の設定は意外性がありながらも綿密に練り込まれ、それに対応する人類の戦いを描いています。

 

その“地球外生命体”の設定は、アナログなイメージの宇宙人などではなく、極めて斬新。“地球外変異性金属体” (Extraterrestrial Living-metal Shapeshifter)という意味から「ELS(エルス)」と呼称されるその“地球外生命体”は、その名の通り金属の生命体。高度な知性はあるもの人類とは価値観に大きな違いがあり、なおかつ人類のように声を発して言葉でコミュニケーションを取ることはないのです。では、彼らのコミュニケーション方法は何なのかというのが、本作の大きなテーマとなっています。それは本作のキャッチコピーである「最終決戦(来るべき対話)が始まる」からも読み取れますね。

 

――さて、このようにテレビ版から大きく振り切ったストーリーとなった劇場版ですが、『00』シリーズを手掛けた水島精二監督は、この劇場版は批判を覚悟のうえだったと、当時のインタビューで語っています。

 

しかし、この“地球外生命体”が登場する設定は、何も劇場版のために取ってつけた設定ではないのです。実は水島監督は、テレビシリーズの企画時点で複数の案を用意しており、「外宇宙の生物と戦うガンダム」という設定も初期段階で提案していたんだとか。しかし、それが却下されたため、実際にテレビ版の物語となった「戦争根絶のために戦うガンダム」という案に、決定したという経緯があるんですよね。

 

つまり、テレビシリーズが終わってから考案された設定ではなく、テレビシリーズ開始前から水島監督が温めていた設定を、劇場版で実現させたというわけなんです……!

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昌谷大介

編集プロダクションA4studio(エーヨンスタジオ)代表。ライター・エディター・映像クリエイター。1979年、神奈川県生まれ、大正大学 文学部 日本語・日本文学科卒業。『週刊プレイボーイ』(集英社)、『ダイヤモン...

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