「わたしも働きたいから!」いきなり家事分担を強いられた夫は、妻とうまくやっていけるのか…

人間関係

 

■今さら分担を変えるなんて

 

シンジさん(48歳)が、5歳年下の女性と結婚したのは30歳のとき。


「僕は仕事優先の生活を送りたかったんです。そのくらい仕事がおもしろかった。彼女は専業主婦として子どもを育て、家庭を守るのが夢だと言っていた。それならいい組み合わせだなと思ったんです。性格もおっとりしていて、彼女以上の伴侶はいないと思いました」


友人の紹介で妻となる女性に会ったとき、彼はそう感じたという。つきあって半年で結婚。結婚してすぐに長女を授かった。子ども好きの妻は、すぐにでも次の子をと言ったが、彼は妻の負担を考え、第二子は5年後となった。


「妻の負担を考えたというよりは、自分の負担を減らしたかったんです、正直言うと。上が5歳になっていれば赤ちゃんがきても僕はそれほど手伝わなくてすむかな、と」


シンジさんは正直にそう言った。仕事だけをしていたい夫としての本音だろう。


「もちろん、時間があれば子どもをお風呂に入れたりしましたし、週末はなるべく休んで子どもたちと遊んだりしましたよ。平日は家庭より仕事のことを考えていたかった」


よく聞くと、週末も土日のどちらかは出社したり取引先と打ち合わせをしていたりすることも多々あったようだ。長女は高校生、長男は小学生。ともに元気に育った。長女はすでに将来の目標も決まっているようだ。


「そんなとき、妻が突然、働きたいと言い出したんです。だからあなたも家事をやってね、と」

 

 

■話し合いを続けていくしかない

 

今さら家事の分担と言われても、とシンジさんは困り果てた。


「そんなに裕福ではないけど、福利厚生も悪くないので僕の収入でなんとかやっていけるはず。僕も彼女も浪費はしないタイプですし。そうしたら彼女が『生活に困っているわけではないけど、私にも私の人生があるの』って。家族のために生きたいといっていたのは妻なのに。『もう家族のためだけに生きていくことに疲れちゃった』そうです。彼女が何を求めているのか、何をしたいのかさっぱりわからない」


専業主婦には専業主婦のストレスがある。子どもたちが大きくなったら外に出たいと思う人もいるだろう。


「でも今さらそんなことを言われても。平日はやはり仕事を優先させたい。そのためには妻には家にいてもらいたいんです。子どもが大きくなったとはいえ、未成年ですから」


すると妻は、毎週土日だけというパートを決めてきた。そうなると、平日は彼の帰宅が遅いため、家族4人で過ごす時間はほとんどなくなる。週末の家事はすべて自分にかかってくるのだろうか、そもそもそこまでして週に2日働く妻の意図は何なのかと彼は訝った。


「それなら平日の昼間、短時間で働くほうがまだいいと僕は言いました。結局、彼女は週末のパートは断ったのですが、『私がやりたいことを阻止した』と文句を言っていて。周りがみんなパートにでているから彼女もでたくなったのか、あるいは本気で生きがいを探しているのかわからない。だから働くこと以外にやりたいことがあるならやってみればいいんじゃないかという話はしました。今後、日曜の夜は僕が食事を作るという提案もしました。でも彼女はいい返事をしないんですよね」

 

子どもたちの手が少し離れて、彼女は一種の燃え尽き症候群のようになっているのかもしれない。もう少しきめ細かく彼女の話を聞いてみたほうがよさそうだ。


「僕は彼女がいるから仕事優先という目的を達することができている。彼女は僕が働いたお金で生活できている。持ちつもたれつでやってきた。最初からそういう約束だったはずなのに、という思いが拭えないんです」


年月とともに人の気持ちは変わっていく。お互いを思いやりながら、この先、どうするかを考えていくことも重要なのではないだろうか。

この記事が気に入ったらいいね!しよう

citrusの人気記事をお届けします

SNSで記事をシェア

ノンフィクションライター

亀山早苗

明治大学文学部演劇学専攻卒業後(専攻は歌舞伎)、雑誌のフリーランスライターに。 ライター歴、もうじき30年。離婚歴1回の現在独身。長い間、男女関係に興味を持ち続け、さまざまな立場の男女に取材を重ねてきまし...

亀山早苗のプロフィール&記事一覧
ページトップ