自覚症状なし 恐怖の病に倒れた芸人

ヘルス・ビューティー

citrus 北村 亮典

 

1995年。ある芸人が彼女と暮らしていた。テレビを見ていた時、突然目がかすみ字幕がぼやけた。そして...突然、意識を失った。


その芸人の名は...グレート義太夫。本名、鈴木正之。たけし軍団の1人として活躍するぽっちゃり芸人。倒れてすぐに病院に運び込まれた義太夫。その後、意識は戻り医師からは糖尿病と診断された。


糖尿病とは、予備軍を合わせると日本では成人の24%以上がいると言われる生活習慣病。通常、人は食事から得た糖をエネルギーにし、活動している。この時、ブドウ糖を身体中に運ぶ働きをしているのが、すい臓から分泌されるインスリンというホルモン。糖尿病になるとこのインスリンが働かなくなり、体内に糖が運ばれず血中の糖分が残り、血管がボロボロになってしまう。健康な人の場合、空腹時の血糖値は110未満だが、この時、義太夫の血糖値は630もあった!

 

 

■不規則な生活が続き…糖尿病に

 

 

彼には思い当たることがあった。それは1か月程前...なぜか、体重が14キロも急激に減っていた。この頃からやけに喉が渇くようになり、1時間も我慢できないほどトイレが近くなっていた。


実は、これらの現象はすべて糖尿病によるものなのだ!インスリンの作用不足によって、しっかり食べても栄養が体に回らず体重が減少。そして血中に溜まったブドウ糖を排出しようと腎臓がフル回転するため、頻尿になり、さらに糖分を薄めようと、体の中の水分が血管内に奪われ脱水状態となり喉が渇く。ブドウ糖の濃度が高い血液によって毛細血管が詰まってしまい、目がかすんで意識が朦朧としてしまう。


義太夫の父親も糖尿病による合併症で亡くなっていた。糖尿病はすい臓の働きが病状に大きく関わるため遺伝による影響も大きいという。


しかも23歳で芸人になって以来、多忙な生活。仕事が終わるのは深夜...腹が減るため、腹いっぱいになるまで食べてしまう。明らかに不規則な生活を送っていた。


こうして糖尿病になった義太夫は入院することに。高くなった血糖値を下げる為...注射でインスリンを補った。そして食事も徹底的に管理。特に糖分が多く含まれているご飯類や麺類、芋などは食べる量を制限され、代わりに、きのこや野菜類、海藻など糖質ができるだけ少ない食事を摂り、糖分のバランスを整えた。


そして入院から1週間が過ぎたころ。義太夫はナースからインスリン注射のやり方を覚えるように言われた。実は、糖尿病の根本的な改善は難しく、一度病状が悪化してしまうと、一生インスリン注射を手放すことが出来なくなってしまう人も少なくない。

 

退院後も血糖値に異常がないか、毎日朝・夕、血糖測定器で数値を確認。さらに食後に血糖値が上がる為、食前にインスリン注射を打つ。もちろん食事はとにかく量を抑え低カロリーに...大好きなカレーも食べられない。こうして退院して3か月、毎日の血糖値測定やインスリン注射、月2回の通院も真面目にしてきた義太夫...すると考えに変化が。


特に体調が悪いというワケでもない...なぜこんなに我慢をしなければならないのか? こう思うようになり、再び以前のように食べるようになってしまった。

 

 

■自覚症状が無い糖尿病の恐ろしさ

 

 

実は、糖尿病の本当に怖いところは"病気である"という自覚症状が強くないこと。しかし、我慢をやめてしまうと、合併症を引き起こしてしまうのだ。


糖尿病にとって最も恐ろしいのが合併症。毛細血管が詰まることで足先が壊死したり、心臓や脳に影響を与え、死に至ることも少なくない。だが、義太夫にはこの時そんな危機感はなかった。


そんな生活が5年以上続いたある日、義太夫の体に変化が。
毎日測っていた血糖値がなぜか下がっていた。もしかして...治ったのでは? そう思い、義太夫は病院に通わなくなってしまった。


しかし、糖尿病はそんなに甘くはない! 血糖値が下がって半年...体に異変が。めまいや立ちくらみが頻繁に起きるようになっていた。実はこの時、義太夫はある恐ろしい合併症を引き起こしていたのだ。


そしてついに...義太夫は倒れてしまった! こうして約8か月ぶりに病院へ...診断の結果は腎不全だった。

 

腎臓では血液をろ過し、老廃物を尿として排出している。
だが、義太夫の腎臓はその機能が失われていた。実はこれ糖尿病による合併症。糖尿病により腎臓がその機能を失うと血中のインスリンが外に出なくなり一時的に血糖値は下がる。血糖値が下がったことで、回復しているように思われた義太夫だったが、合併症により腎臓がその機能を失い、状況は更に悪化していたのだ! そして取り返しのつかない事態となっていた!

 

 

■腎不全で人工透析を受け続けることに

 

 

義太夫は人工透析を受けることになった。人工透析とは、腎臓に代わり医療機器で人工的に血液を綺麗にする治療法。一度、人工透析を必要としたら、多くの場合この先一生この治療が必要となる。


もし人工透析を行わなければ、数週間で死に至ることもある。そして生きるためにはこれまで以上の食事制限が必要になった。


特に辛かったのが水分。腎臓が機能しないということは、尿が出ず水分を体外に出すことができないということ。そのため、水分は極力抑えなければならないのだ。

 

義太夫が糖尿病を甘く見てしまい、治療を怠った結果だった。そんな彼は...現在5時間の透析を週に3回行っている。

 

透析では機械を使って汚れた血液をキレイにする。体内から排出された血液を筒状のろ過機に通し老廃物を除去してから体に戻す。この作業を5時間かけて行う。透析中は動くこともできず、ただ終わるのを待つのみ...水分は約3リットルも抜かれた。透析が終わると毎回どっと疲れが出るという...それでも前向きに治療に励む義太夫。


*現在は自身の体験を経て糖尿病の恐ろしさを伝える講演活動も行なっている。国内でも糖尿病が強く疑われる人の数は増えるばかり。取り返しのつかなくなる前に対応を!(*2018年11月時点)

(2018年11月13日OA)

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弁護士

北村 亮典

北海道札幌市出身、慶應義塾大学大学院法務研究科卒。 横浜弁護士会に弁護士登録後、横浜市所在の弁護士法人に勤務し、2010年4月1日、こすぎ法律事務所を開設。 民事事件を専門に取り扱い、家族法(離婚・相続・後見),会社の倒産処理,個人再生手続,不動産取引(売買,賃貸管理,建築)に注力しています。その他民事法全般(個人の借金問題,労働問題,交通事故など)も取り扱っています。

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