もう離れられない不倫の彼。実は、中学の同級生の夫だとわかって…残酷な偶然に体が震える

人間関係

 

■もう引き返せない関係に…

 

「32歳のころ結婚相談所に登録して、パーティやらお見合いやらと婚活をしていたんです。だけど1年も経たないうちに疲れてしまった。そんなとき行きつけのバーへふらりとやってきたのが彼でした。他の常連さんの話では、ときどきやってくるようになった新顔だって。でもいい人そうだよと聞きました。それから会うと話すようになって」


サキコさん(34歳)はそう言った。相手は3歳ほど年上、話してみたら既婚者だったので、彼女は“友だち”としてつきあおうと決めた。ところが婚活の話を彼にするようになり、気づいたら彼と深い関係になっていた。

 

「婚活で私、本当に疲弊していたんですよね。だから結婚する必要のない人に逃げたのかもしれない。今思えばそんな気がします」

 

ところが彼とは身も心も相性がよかった。最初は「避難場所」としての存在だったのに、いつしかかけがえのない存在になってしまった。心の中は彼のことでいっぱいになった。

 

「このままじゃいけない、もう会わないようにしようとお互いに言うんです。でも我慢できずに会ってしまう。その繰り返しで1年たちました」

 

あるとき、彼の携帯から電話がかかってきたので出ると、女性の声が聞こえてきた。〇〇の妻ですが、と彼の名字を名乗る。サキコさんの体が震えた。

 

「あなた、〇〇中学の〇〇さんでしょって。私のフルネームを知っていたんです。相手は私は××ですと旧姓を名乗った。そのとき思い出したんです。中学の同級生にそういう子がいたなと。旧姓が珍しい名前だったので覚えていたんですね。ただ、彼の名字はよくあるものだったし、彼は奥さんのことはほとんど話さなかったから、まさか私が中学時代の同級生の夫と不倫しているなんて思いもしなかった」

 

世間は狭い。そう言ってしまえば身も蓋もないが、離れられないほど相性のいい人がなぜかつての同級生の夫なのか、サキコさんはひどく落ち込んだ。

 

「あとから聞いたんですが、彼は奥さんに携帯を取り上げられて、目の前で電話をかけさせられたそうです。彼もまさか私が妻の元同級生だなんて思っていなかった、と。でも奥さんは疑っていたみたいですよ。私が知ってて近づいたのではないかと」

 

こんな残酷な偶然があるものなのだろうか。

 

 

■なんとか前に進みたい

 

中学時代、確か彼女は成績優秀でいつも学級委員をやっているような子だった。一方、サキコさんはそんな彼女に反発していた記憶がある。彼女のほうも覚えていたのだろう、だから知っていて近づいたと邪推したのだ。


いずれにしろ、彼との関係は終わりにするしかなかった。

 

「妻の監視が厳しくて、結局、彼とはさよならも言えずに別れたままです。あのバーにももちろん彼はやってこない。私は婚活に戻ることもできず、彼にも会えないまま、ずっと時間が止まったような日々を過ごしています」

 

自分がずっと同じところにとどまっている感覚はつらいものだ。前へ進みたいが、どうやったら進めるのかわからない。それでも、と彼女は自分に言い聞かせるようにつぶやいた。

 

「何かしなくてはいけないと思っているんです。彼と離れて1年近くたつ。もう立ち上がらなくちゃって」

 

無理に微笑んだ顔が、どこか痛々しかった。

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ノンフィクションライター

亀山早苗

明治大学文学部演劇学専攻卒業後(専攻は歌舞伎)、雑誌のフリーランスライターに。 ライター歴、もうじき30年。離婚歴1回の現在独身。長い間、男女関係に興味を持ち続け、さまざまな立場の男女に取材を重ねてきまし...

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