もう一度考え直したほうがいいかも? 姓を変えたくない問題で結婚に踏み切れない女性

人間関係

 

■姓を変えたくない

 

現状で婚姻届を出すなら、男女どちらかの姓を名乗らなければいけない。共働きであっても女性が男性の姓に変えるカップルが圧倒的に多い。戸籍上の名前を変えると、車の免許証はもちろん、銀行などあらゆるところへ届出なければならないのだ。そのことで困惑しているというのは、ミナさん(29歳)だ。


「彼は会社員、私はフリーランスで仕事をしています。そもそも彼は、結婚したら女性が姓を変えるものだと思っていたんですって。どちらでもいいんだよと言ったら、オレは変えたくないと。私も変えたくないと言いました。すると彼は、『ミナはフリーなんだから変えたってかまわないでしょ』って。いや、むしろフリーで自分の名前で仕事をしてきたからこそ変えたくないんだと言うと、名前って記号じゃん、記号が変わっても中身が変わらなければいいんだよって。じゃあ、あなたが変えてよと言ったら、オレは長男だからと。彼は弟がいる長男、私はひとりっ子なんですけどね」

 

2年つきあって、この人とならやっていけると思ったからこそ結婚を決めたのに、姓の問題を出したとたん、ミナさんは彼の思いやりのなさに傷ついた。

 

「自分が姓が変わるのは大変だとかアイデンティティの問題だなと思うなら、それは相手である私も同じように考えているわけです。その想像力がない。女性は男の姓に変わることを喜んでいると思い込んでいる。中には喜ぶ人もいるでしょうけど、私はそうではないんです」

 

彼が言うように、名前は記号みたいなものと割り切っている人もいるし、アイデンティティがからむと考えている人もいる。自分の名字が好きな人も嫌いな人もいる。あくまでも個人差は大きい。

 

ミナさんは、彼への気持ちをもう一度考え直したほうがいいかもしれないという思いにかられているそうだ。

 

 

■結婚後の生活に大きな齟齬が

 

つきあって半年、お互いに盛り上がってすぐに結婚を決めたカホさん(30歳)。2歳年上の彼と、まずは婚姻届を出そうとしたとき、ふと現実に戻って「結婚後、どういう生活をしていく?」と尋ねてみた。

 

ふたりとも会社員だが、勤務形態は違う。週末が休みの彼と、休日は不定期なカホさん。しかも彼女はシフト制の仕事だ。夜勤もある。

 

「どういう生活って? オレが帰ってきたらカホの手作りの料理が待っててさー、と彼はノーテンキな答え。ちょっと待って、私は家事万端はできないよと言うと、『え、仕事やめないの?』と。私が仕事を辞めても暮らしていけるのならと言って、初めてお互いの収入を知りました。結果的には私のほうが若干多かったんですが、いずれにしてもひとりの収入ではとても食べていけません。彼は実家暮らしなので、『本当? うわ、結婚って大変なんだ』と急に気弱になってしまって。ちょっと考えたいと(笑)」

 

結婚が生活であることを彼はわかっていなかった。好きだから結婚しよう、自分が彼女のひとり暮らしの部屋に引っ越してくると大騒ぎしたのだが、彼女が住んでいるのはワンルーム。結婚生活をワンルームで始めるのはむずかしいと彼女は思っていた。

 

「私も彼のことが本当に好きで、ずっと一緒にいたいと思ってはいるけど、婚姻届を見てふと我に返ってしまったというか。この部屋でふたり暮らしは無理でしょ、そもそも彼はどういう結婚生活を思い描いているのかと思って聞いたら、案の定、何も考えていなかった」

 

それから1ヶ月ほどたち、彼女はふたりの青写真が固まるまで、この結婚は延期したほうがいいと考え始めている。ところが彼のほうは、「結婚しちゃえばどうにかなるんじゃない?」と婚姻届を出そうと迫ってくるそうだ。

 

「彼の勢いに乗っかるとあとで後悔しそうだから、ここはちゃんと立ち止まって考えるつもりです」

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ノンフィクションライター

亀山早苗

明治大学文学部演劇学専攻卒業後(専攻は歌舞伎)、雑誌のフリーランスライターに。 ライター歴、もうじき30年。離婚歴1回の現在独身。長い間、男女関係に興味を持ち続け、さまざまな立場の男女に取材を重ねてきまし...

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