「生活レベルではすごくいい人」夫婦の性格や価値観は、似ているほうがいいのか、大きく違うほうがいいのか

人間関係

 

■違い過ぎて重荷になって

 

ひとつ年上の男性と結婚して5年、3歳の子がいるカホリさん(38歳)。共働きのため、連絡を密にとり、協力しながら家事、育児をしている。

 

「夫は生活レベルではすごくいい人なんですよ」

 

カホリさんは苦笑しながらそう言った。生活レベルではいい人、という言い方が気になる。

 

「つまり彼は現実的なタイプなので、生活空間では夫の能力が生きる。でも夢のない人だから、未来を語るにはつまらないんです」

 

カホリさんには将来の夢がある。今は栄養士として勤務しているが、いずれは自分で惣菜屋か小料理屋をやってみたいのだ。

 

「もちろん夢です。でも夢はきちんと言葉にしつづけないと叶わないと思うんですよ。話していれば、どこかに協力者が現れるかもしれない。だけど夫は、『店をもつなんて、いくらかかると思ってるんだ』と現実レベルに急に引き戻してくる。夢を語れない人ってどうなんだろうといつも思います」

 

近所に、子ども同士が友だちで家族ぐるみでつきあっている家族がいる。その一家はアウトドアが好きで、昨年はキャンプに誘われ、カホリさんと子どもは参加したが夫は仕事を理由に来なかった。

 

「夫はまったく社交的ではないんです。一見、社交的に見せているけど実は内弁慶というか、かなりの人見知り。興味の幅が狭くて新しい経験は好まないタイプ。だからキャンプなんて行きたくなかったんだと思う。ただ、キャンプに興味がもてないからオレは行かないと言うならわかるんですよ。無理強いしようとは思わないし。でも夫は私にまで、『本当は行きたいんだけど、どうしてもはずせない仕事がある』と言うんですよね。夫の仕事は時期によっては繁忙期がありますが、そのときは決して繁忙期ではなかったから、わざわざ土曜日に出ていく仕事なんてないはず(笑)」

 

妻や子どもに威圧的になることはないが、自分の弱さを見せたくない、自分をもっと大きく見せたいという見栄っぱりな側面があるそうだ。

 

 

■もっといろいろな人と知り合いたい妻、家族だけで静かに暮らしたい夫

 

カホリさんは自分の世界をどんどん広げていきたいと思って生きてきた。結婚し、子どもが産まれたら、さらに知らない世界を知ることができると思っていた。


「実際、私はママ友の世界も見ているし、ママ友や近所の人たちを通じて、いろいろな人と知り合っています。あちこちの飲み会にも時間が許せば出かけていきたい。だって世の中、いろいろな人がいるんだから、知り合いたいじゃないですか」


ところが夫は家族だけで静かに暮らしたいタイプなのだという。だから週末、土日のどちらかは子連れで出かけていくカホリさんに、「もっと落ち着いた生活をしたほうがいいんじゃないか」と言ったことがある。数ヶ月前のことだ。


「子どもにたくさんのことを経験させたい、私ももっと楽しく暮らしたい。あなたこそもっと外に出て知らない人と触れあって自分を成長させたほうがいいと言い返したんです。それ以来、夫婦関係は微妙なんですよね」


互いに肝心なところには踏み込まなくなった。その分、夫との会話が減った。それが今のカホリさんのゆううつのタネだという。


こういう価値観の違い、好みの違いはどちらかが無理して合わせるものではないのかもしれない。だがそこから亀裂が入りやすいのも確か。今のうちにお互いを尊重しあう姿勢を作っていく道を探れないものだろうか。

この記事が気に入ったらいいね!しよう

citrusの人気記事をお届けします

SNSで記事をシェア

ノンフィクションライター

亀山早苗

明治大学文学部演劇学専攻卒業後(専攻は歌舞伎)、雑誌のフリーランスライターに。 ライター歴、もうじき30年。離婚歴1回の現在独身。長い間、男女関係に興味を持ち続け、さまざまな立場の男女に取材を重ねてきまし...

亀山早苗のプロフィール&記事一覧
ページトップ