「 "浮気をしている" という実感は全く無くて…」ついつい二股してしまう男性の心理とは

人間関係

 

■悪気はなかったんだけど


4年前、ふたりの女性とつきあっていたことが双方にバレ、どちらにもフラれたあげく友人たちの信頼もなくしてしまったというのは、タケシさん(34歳)だ。当時、マミさんとは2年半のつきあい、ハルナさんとは8ヶ月の関係だった。


「マミとは落ち着いた関係で、このままいけばそろそろ結婚かなあと思っていました。家庭をもったらうまくいきそうだったし。でもマミとつきあって2年近くたったころ、ハルナと知り合ったんです。ハルナはうちの会社に転職してきた同い年の女性なんですが、すごく情熱的で、一緒にいると本当に楽しかった。仕事をしながらダンサーとしても活躍していて、彼女のダンス公演を見に行ったこともあります」


まったく違うタイプの女性ふたり。それでも彼は最初のうちはハルナさんとは友だち付き合いにとどめていた。マミさんを恋人として紹介したこともある。


「だけどそれがハルナに火をつけたんでしょうね。後日、彼女に『若いのに、やけにまったりしたカップルね』とからかわれたんです。それからハルナは妙に積極的にアプローチしてくるようになった。クラブに誘われたり、僕の知らないミュージシャンの世界を見せてくれたり、僕はだんだんハルナにはまっていった。一方で、マミとは週末、ごく普通のデートをしていたんです」


“いつもの世界”と、“知らなかった世界”のふたつを手にしたタケシさんは、毎日が楽しくてたまらなかったという。まったく悪気のないままに、ハルナさんとも深い関係になっていった。

 

 

■浮気しているつもりもなくて


ふたりと性的な関係をもちながらも、タケシさんには「二股をかけている」「浮気している」という実感はまったくなかった。平日の彼女と週末の彼女、情熱的な恋と穏やかな愛。ふたつは彼の中で何の矛盾もなく成立していたのだ。


「ハルナはそもそも僕に恋していたわけじゃなくて、まじめで平凡な生き方をしている僕をからかっているようなところがありました。彼女の挑発に乗って、僕だってちょっとは羽目をはずすことができるんだと思いたかったのかもしれない」


魔性の女に魅せられてしまったのだろうか。だが、そんな恋人の変化をマミさんは見逃さなかった。あるとき、ハルナさんのマンションで一緒にいるところをマミさんに強襲されたのだ。


「どうしてマミがハルナのマンションを知っていたのか、あの穏やかなマミがなぜ乗り込んできたのか。驚きました」


マミさんは真剣にタケシさんとの将来を考えていたのだ。だから行動がアヤシくなったタケシさんの携帯電話などからハルナさんを特定、住所も調べ上げたらしい。


「マミに乗り込まれて、さすがにハルナも驚いたようです。でもすぐに『あんたの彼氏は私とのセックスに夢中なのよ』と言い放った。これにマミは相当傷ついたようです」


般若のように怖い顔になったマミさんは、マンションを飛び出していった。タケシさんは必死にあとを追った。自分が心から必要としているのはマミさんだとわかったから。


ところがマミさんはタケシさんがどんなに謝っても戻ってこなかった。そしてハルナさんも二度と彼に近づこうとはしなかった。


「そのとき初めてわかったんです。どちらにもフラれたんだ、と。ひどいことをしたんだと痛感したのもそのときです。マミとの関係はもう日常生活に組み込まれていたので、そこへ新しいハルナという女性が入ってきても、僕にとっては二股という感覚ではなかったんですよね。いや、わかっています、僕がバカだったということは」


あれから4年という月日がたっても、彼はまったく恋をしていない。それどころか女性とデートすらしていないという。思い出すのはマミさんに対する懺悔の念、そして今は転職してしまったハルナさんの強烈な魅力だ。


「もう一度、誰かを好きになれる日がくるんだろうか。そんな思いを抱えて、今は必死に仕事をしています」
タケシさんは少しだけ虚ろな声でそう言った。
 

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ノンフィクションライター

亀山早苗

明治大学文学部演劇学専攻卒業後(専攻は歌舞伎)、雑誌のフリーランスライターに。 ライター歴、もうじき30年。離婚歴1回の現在独身。長い間、男女関係に興味を持ち続け、さまざまな立場の男女に取材を重ねてきまし...

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