なぜ、吉野家は「アタマの大盛」をメニューに加えたのか?

ビジネス

出典:吉野家公式ウェブサイト

 

永遠に続くがごとく、熾烈な戦いを続けている牛丼業界。トップを走る「すき家」に対し、先駆者「吉野家」も負けてはいない。メニューが多く、ランチ需要や家族連れを取り込んだ「すき家」は強い。

 

だが、「吉野家」には“マニア”がついている。

 

「牛丼=吉野家」で、他店では絶対に食べないという人も多い。“マニア”が「吉野家」の強みなのだが、その絶対数は業界トップに返り咲くほどではない。マニア以外をもっと取り込む必要がある。

 

そこで、女性ウケを狙った野菜メニューを開発したり、290円の朝食メニューを用意したり。最近では、豚丼も復活させた。これにより、業績は回復傾向にある。

 

だが私は、「吉野家」のメニューを見ていて、まったく別の業績回復策を見つけた。牛丼の「アタマの大盛」が、追加されていたのである。「アタマの大盛」とは、ご飯の量は“並”と同じで、肉が“大盛り”と同じになっている。

 

このメニューは、本来、裏技・裏メニューであり、マニアがよく注文するものである。この裏技を知っている人でも、マニアでなければ、注文しづらいメニューである。マニアと見られることへの抵抗感や恥ずかしさがある。

 

それがメニューに加わったということは、マニアではない潜在需要を見抜いたのかもしれない。興味はあるが注文できなかった、マニア寄りの客を取り込もうとしたのではないか。メニューに載っていれば注文しやすく、客単価もあがる。

 

……と、私は読んでいるのだが、「吉野家」がすべてを計算づくでやっているのかどうかはわからない。

 

だが、ここに業績回復の大きなヒントがあるのではないか。裏技・裏メニューを少しずつ表に出すのである。

 

・牛丼のご飯を少なめにした「軽いの」。

・つゆの量を調節した「つゆだく」「つゆだくだく」「つゆぬき」。

・ねぎの量を変える「ねぎだく」「ねぎぬき」。

・赤身が多めの肉を使う「赤多め」や脂のない肉にする「とろぬき」。

 

これらの中から、需要が見込めそうなものを“小出し“にするのである。すべてを出してはならない。マニアの領域を荒らしては、マニアが離れてしまう。

 

ごく普通の客が馴染みやすいものだけを出すのである。マニアには憧れるが、マニアにはなれない客層は多い。そんな客層を呼び込めば、他店とは異質な独自の販売戦略となり、大きな差別化が図れるのではないか。

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コンサルタント

佐藤きよあき

1961年兵庫県生まれ。広告デザイン会社にコピーライターとして勤務の後、プランナー・コピーライターとしてフリーランスに。モノづくりへの興味から、仕事を継続したまま、木のおもちゃ制作を開始。ネット販売に着手...

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