【ネタバレ】このマンガがすごい1位『チェンソーマン』 ラスボスはまさかの〇〇…衝撃的すぎる "倒し方" に鳥肌
累計発行部数500万部(電子版含む/2020年12月現在)を突破し、テレビアニメ化も決定している『チェンソーマン』。『このマンガがすごい!2021』でオトコ編1位を獲得した本作の魅力を恋愛コラムニストが解説。
今回は恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーの筆者が、ある意味、究極の純愛が完遂された最終回(第1部最終回)を、超ネタバレしつつ考察していきます。
※このコラムには『チェンソーマン』第1部最終回のネタバレが多く記述されています。未読の方はご注意ください。
■そもそも『チェンソーマン』ってどういう作品?
ヤクザの下請けデビルハンターとして働き、極貧生活を送っていた主人公・デンジは、ヤクザの裏切りで命を落とすも、相棒の“チェンソーの悪魔”ポチタから心臓を与えられ復活。“チェンソーマン”となったデンジは公安対魔特異4課を取り仕切るマキマ(赤茶ロングヘアの美女)にスカウトされ恋に落ち、公安のデビルハンターとして悪魔退治をしていくというバトルマンガです。
悪魔との壮絶・大迫力・グロテスクなバトルが繰り広げられる本作ですが、次々と新たな情報が開示されていき謎が増幅していくとともに、レギュラーキャラと思われていた仲間があっけなく“退場”していくなど、スピーディかつ予測不能な展開も大きな話題に。
『週刊少年ジャンプ』での連載は惜しまれながら2020年12月に終了(第1部完)しましたが、第2部がマンガアプリ『少年ジャンプ+』で再開されることも発表されており、ファンの間では盛り上がりがまだまだ加速している作品です。
繰り返しますが、この先は多くのネタバレを含む内容となっています。『チェンソーマン』を純粋に楽しみたい未読の方は、ここから先は読まないことを強くおすすめします。
■大方の予想通り、ラスボスは○○○だった…
ラスボスは、デンジが恋をしていたマキマでした。
マキマの正体は“支配の悪魔”だったのです。
マキマいわく、「チェンソーマンが食べた悪魔は その名前の存在がこの世から消えてしまう」そうなのです。実際、作中の世界ではチェンソーマンが食べたことで、「核兵器」「エイズ」「ナチス」といった概念そのものが消え去っているとのこと。
ですから、デンジをデビルハンターにスカウトしたのも、デンジが自分を好きになるような振る舞いをしていたのも、自らの目的=“チェンソーマンの能力を使ってより良い世界を作る”ため。マキマの言葉をどこまで額面通りに受け取っていいのかは不明ですが、デンジを手の平の上で転がして利用しようとしていたんですね…。
とは言えマキマが清廉潔白なヒロインではなく、“裏”があることは物語前半から露骨に描かれていたため、彼女がラスボスだったこと自体に意外性はありませんでした。
意外…というか衝撃だったのは、マキマの末路。
最終回の1話前で、デンジのチェンソー攻撃によってマキマは倒されます。ですがマキマは作中で何度も何度も死んでおり、そのたびに平然と蘇っていたので、チェンソーで切り刻まれたぐらいでは本当の意味で“倒した”とは言えない存在。
そんなマキマを復活させないためにデンジが取ったのは、あまりに狂気的かつ猟奇的で、それでいて深い純粋な愛に満ち溢れた方法だったのです…。
■ラスボス=ヒロインの“肉”を料理して食べる
マキマを倒した後、場面はデンジの自宅に。一人暮らしの男のありふれた日常のように、デンジは自炊で生姜焼き定食を作ります。
とても美味しそうな生姜焼きとご飯と味噌汁。生姜焼きの肉は、普通なら豚肉ですよね。
しかし、デンジのセリフがあまりに不穏なのです。
出来上がった生姜焼きを前にして、
「マキマさんと俺… 一つになりゃあいいんだ…」
実際に生姜焼きを口にして、
「マキマさんって こんな味かぁ…」
ここで最終回の1話前は終わります。
…………そうです。この生姜焼きの肉は、マキマの人肉だったんです。(マキマは悪魔なので正確には人肉ではありませんが)
冷蔵庫には大量の白い箱が押し込まれていましたが、おそらくその箱の中に切り刻まれたマキマの全身の肉が詰められているのでしょう。
そして、最終回。冒頭から、美味しそうな料理の数々が描かれます。
ハンバーグ、ナゲット、モツ味噌煮込み、肉だけカレー、肉団子、寿司、ステーキ、刺身、鍋、肉マン、マジ闇鍋、ヤバジュース……。
生姜焼きだけではない、多彩な肉料理。デンジは毎日、少しずつ、マキマの肉を使った肉料理を胃袋に詰め込んでいったのです。
マキマ=支配の悪魔、完全摂取。
■思考停止からの脱却…熟考の末、辿り着いた究極愛
最終回でデンジ本人も語っていますが、デンジにとってマキマの肉を全て食すことは、マキマへの攻撃ではなく、愛。
方法自体は狂気的かつ猟奇的ですが、デンジは狂っているわけではなく、いたって冷静。マキマへ最大限の愛情を示す方法を考えていたのでしょう。
それまでのデンジはとても思考が“浅い”主人公でした。
デビルハンターを続けていたのも、確固たる信念や御大層な目標があったわけではなく、基本的にはマキマの言いなり。男の先輩・早川アキからの指示にはめんどくさがりながら仕方なく従うという感じ。毎日ジャムを塗った食パンを食べられて、毎日お風呂に入れれば大満足で、しいて言うなら“キスしたい”、“胸を揉みたい”といった性欲を戦うモチベーションにしていたぐらい。
そんなデンジ、物語後半では情を深め合っていた早川アキを自分の手で殺すことになってしまい、しばらく意気消沈した末、
「犬… に… なりたい マキマさんの……」
「俺…もう… 自分で何も考えたくねーです…」
とマキマに吐露。自ら思考を止めてしまっていたのです。
辛いこと、難しいこと、悲しいことに直面すると、思考停止するという“逃げ癖”があったデンジ。
そんなデンジがマキマへの愛を体現するためにはどうしたらいいかと熟考したのでしょう。
ずいぶんと浅はかだったデンジ、それまでは何事に対してもせいぜい思考を“一掘り”ぐらいしかしていなかったと思います。でも、自らチェンソーで切り刻んだ最愛の女に対して何をすべきなのかについては、二掘り、三堀り、四掘り……と思考の階層を深く深く掘り下げていったんだと思います。
その答えが「マキマさんと俺… 一つになりゃあいいんだ…」。
デンジが「チェンソーマンが食べた悪魔は その名前の存在がこの世から消えてしまう」ことの意味をどこまで理解していたかはわかりませんが、最愛の人(悪魔)の肉を全て自分が食すこと――それこそデンジがたどり着いた究極の愛の形だったということですね。