【ネタバレあり】新作『ひぐらしのなく頃に』の黒幕はアイツ! 闇堕ち理由にツッコミ!!
※注意※
本コラムには『ひぐらしのなく頃に業』、『ひぐらしのなく頃に卒』のネタバレがあります。先入観なしで観たい方は読まないことをすすめします。
昭和58年の雛見沢村で起きた猟奇殺人事件などに、主人公たちが巻き込まれていくホラーミステリー『ひぐらしのなく頃に』シリーズ。今回はネタバレありで新作『業』・『卒』の黒幕を暴露し、その闇堕ちの理由がいかにありえないかお伝えします。
■親友の100年の苦労を踏みにじるのは…
テレビアニメとして放送された『ひぐらしのなく頃に(無印)』(2006年)と『ひぐらしのなく頃に解』(2007年)。
そのほかにもいくつかのOVAがありますが、10年以上の時を経て久しぶりにテレビアニメとして登場したのが、2020年10月~2021年3月に放送された『ひぐらしのなく頃に業』、そして2021年7月から現在放送中の『ひぐらしのなく頃に卒』です。
『業』の序盤はリメイクかと思わせる旧作と酷似した展開でしたが、実は『業』・『卒』は完全新作の続編ストーリー。“無印”・『解』の続きなので、“無印”・『解』を観ていないとわからないことだらけです。
ということでここからが本題。
“無印”・『解』での黒幕的キャラは鷹野三四でしたが、『業』・『卒』の黒幕は全く別の人物。
ネタバレしますが、ズバリ、『業』・『卒』の黒幕はなんと北条沙都子……!
そう、主人公メンバーの一人であり、愛され妹キャラだったあの沙都子です。
『卒』はまだ完結していませんし、異空間に存在して神のような力を操る謎の女・エウアが沙都子にループの力を与えたので、そういう意味で真の黒幕はエウアと言えるかもしれません。ただ、“繰り返す者”となって世界をループする力を手に入れ、現実世界で凄惨な凶行を引き起こさせているのは間違いなく沙都子だったのです。
『業』の18話~24話「郷壊し編」にて、沙都子が闇堕ちしていく様子が描かれていきます。確かに沙都子が闇堕ちしてしまった原因はわかったのですが……なんともツッコミどころが満載なのです。
まず、沙都子の目的は雛見沢村で親友である梨花とずっと仲良く暮らしていくこと。
そのためには、県外にあるお嬢様高校・聖ルチーア学園に入学したいという梨花の夢を打ち砕く必要がありました。沙都子は梨花とともに聖ルチーア学園に入学したものの、学園の校風に馴染めず、勉強にもついていけず、学園で人気者になっていく梨花との距離ができてしまったことを不満に感じていたのです。
そんな聖ルチーア学園での生活をリセットするために、沙都子はシャンデリアが落下するように細工を仕掛け、梨花を道連れにして自死。しかし何度世界を繰り返しても、梨花が聖ルチーア学園へ行きたいという夢をあきらめないため、沙都子は小学生時代の昭和58年6月に再び梨花を閉じ込めることに……。沙都子は自らが暗躍して惨劇の凶行を引き起こさせては、昭和58年6月を何度も繰り返させるようにしたのです。
――というのが、沙都子が闇堕ちして黒幕化した経緯なのですが、あまりにも自分勝手すぎると感じませんか?
沙都子が不満を感じていた聖ルチーア学園での生活は、確かに沙都子にとっては辛い日々だったのかもしれませんが、そうは言っても基本的には猟奇殺人など物騒なことは起こらない平和な世界。
それは梨花が何度も何度も何度も、気が遠くなるほど惨劇が繰り返される世界をループして、実に約100年分の時間を費やしてようやく手に入れた平和な世界です。
梨花は友人が狂気的な殺人者になったりグロテスクに殺されたりする世界など、想像も絶する過酷な世界をループし続けていました。それに比べたら沙都子の過酷さは屁のようなもの。学校に馴染めないとか、親友と距離ができてしまったとか、その程度の辛さでしかありません。
しかも沙都子は、梨花が体験した100年分の繰り返される惨劇を、自分も見て知っています。しかもしかも、そのなかには仲間たちが沙都子を不幸のどん底から救い出すために、一致団結して必死に戦う世界もありました。
そんな数々の非劇的な世界を知っているのに、自分が高校で疎外されるのがイヤだというだけの理由で、梨花をはじめとした仲間たちをまたグロテスクな猟奇殺人が横行する世界に叩き落しているのです。
梨花と仲間たちが必死で勝ち取った平和な世界を、自分が勉強についていけないとか、梨花と距離ができたとか、その程度の理由でぶっ壊しやがる沙都子……。どうかしています。
さらに言うなら、沙都子が否定したがっている高校生活はたかだか3年間。3年間は梨花と距離ができているかもしれませんが、卒業後はまた仲良く過ごせる未来が待っている可能性も充分あるでしょう。自分が3年間苦しみたくないという理由で、梨花が100年間費やして手に入れた平和な世界をなかったことにしているのです。
ともかく梨花が苦しみ続けた猟奇殺人だらけの100年間を知ってもなお、我欲のために再び梨花を惨劇のループに引き込むという所業は、狂っているとしか思えません。
――というか、旧作で純真キャラだった沙都子が利己的にあんな凶行を引き起こすなんて、とにかく違和感だらけ。沙都子の動機が非常に弱いので不自然なんです。メタ的に考察するなら、原作者の竜騎士07氏がもう一度『ひぐらしのなく頃に』を描きたいがために、取って付けたように考えた設定に思えてなりません……。