『シン・エヴァンゲリオン』シンジとアスカ…二人の恋の物語【恋愛のプロが最終結論!】

コラム

citrus 堺屋大地

 

※注意※
本コラムは『シン・エヴァンゲリオン劇場版』のネタバレがあります。すでに鑑賞済であることを前提に執筆しておりますので、未見で作品の内容を知りたくないという方は読まないことをおすすめします。

 

3月8日から公開され興行収入100億円を突破し、8月13日からAmazon Prime Videoで独占配信された『シン・エヴァンゲリオン劇場版』。本作で描かれたシンジとアスカの恋愛物語の結末を恋愛コラムニストが考察し、独自の最終結論!

 

 

■ラストシーン、アスカは一から恋していた…?

旧シリーズ(テレビ版、旧劇場版)でも、新劇場版『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』でも、シンジとアスカの恋愛展開は淡く微妙で、曖昧な描かれ方をしていました。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』でも淡い展開ではありましたが、ひとつの結末がきちんと描かれたと考えられます。

ではここからは、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の2つのシーンにフィーチャーしていきましょう。

1つめは物語中盤で、アスカとマリがシンジの部屋を訪れるシーン。ここでアスカとシンジは、次のような会話を交わします。

アスカ「最後だから聞いておく。私があんたを殴ろうとしたわけ、わかった?」

シンジ「アスカが3号機に乗っていたとき、僕が何も決めなかったから。助けることも、殺すことも。自分の責任、負いたくなかったから」

アスカ「ちっとは成長したってわけね。最後だから言っておく。いつか食べたあんたの弁当、美味しかった。あの頃はシンジのこと好きだったんだと思う。でも、私が先に大人になっちゃった」

アスカが意外と素直にかつてのシンジへの恋心を告白したわけです。

しかし、現在はその恋心がなくなっていることも示しているとも言えます。

アスカは“ツン”成分が圧倒的に多めだったツンデレ美少女でしたから、現在進行形でシンジのことを好きなのであれば、こんなにもサラッと自分の気持ちを表に出せないはず。実際、「あの頃はシンジのこと好きだったんだと思う」と言ったアスカは淡々としており、“デレ”成分はほぼ感じられませんでした。

このことから、シンジへの恋心がもうなくなっているからこそできた告白であり、アスカがもう14歳の少女ではなく、大人の女になっている証左とも言えるでしょう。

一方でアスカにとってシンジとの恋は、『:破』で曖昧なまま強制的にシャットダウンされてしまって、消化不良だったとも考えられます。ですからアスカにとってこの「好きだった」告白は、シンジへの恋の呪縛を解き放つための儀式のようなものだったのではないでしょうか。

2つめは物語終盤、旧劇場版のラストを彷彿させる場所で、シンジとアスカが最後に会話を交わすシーン。ここで二人は短いながらも、次のような言葉を交わすのです。

アスカ「私、寝てた…? (隣にいるシンジに気づき)バカシンジ」

シンジ「よかった…また会えて…。これだけは伝えておきたかったんだ。ありがとう、僕を好きだと言ってくれて。僕も…アスカが好きだったよ」

頬を赤らめ恥ずかしそうに背を向けるアスカに、シンジはもう一言告げます。

シンジ「さよならアスカ、ケンスケによろしく」

シンジの「好きだった」という告白に赤面するアスカの表情は、“恋する乙女”の顔そのもの。

けれどこのアスカのリアクションには違和感がありました。そう、アスカはもうシンジへの恋心がなくなっていたからこそ、「好きだった」と伝えられていたはず…。

シンジの告白により、昔の恋愛感情が再燃したという可能性もあるでしょう。ですが、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーの筆者の推察はちょっと違います。

“少年シンジへの昔の恋が再燃した”

というよりも、

“この瞬間に大人シンジに一から恋をした”

という解釈のほうが自然だと思えるのです。

シンジの年齢はこの時点でも14歳のままですが、紆余曲折を経て、終盤のシンジは一気に精神的に成長していました。ここまで達観したシンジはかつておらず、“大人シンジ”と言って差し支えないほどの成熟ぶりだったのです。

28歳のアスカから見れば、14年間眠りっぱなしだったそれまでのシンジは、お子ちゃまにしか見えていなかったのでしょう。そして、その少年シンジへの恋心は、すっかりなくなっていたのだと思います。

ですが、シンジが精神的に急成長し、ラストでアスカの前に現れたのです。もはや対等、いえ、自分以上に大人っぽくなったシンジと出会い、アスカは恋に落ちたのではないでしょうか。

しかし、その恋は刹那的のものであったわけです。

少年シンジへのアスカへの恋心は曖昧なまま消え去っており、大人シンジへのアスカの恋は一瞬で終わりを迎える。二人の恋物語は、最後まで切ないものでした…。

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