『大豆田とわ子と三人の元夫』が映画化するかもしれない……ガチで理由を考えてみた!!
2021年の春ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ系)。世帯視聴率は全話平均6.1%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)と低調でしたが、本作は映画化の可能性を秘めていると感じます。その理由を恋愛コラムニストであり、『Smart FLASH』でドラマ批評連載を持つドラマウォッチャーの筆者が解説させていただきます。
■映画化しそうな理由は3つもあった……!
3回結婚して3回離婚した大豆田とわ子(松たか子さん)が、3人の元夫たちに振り回されながら、自分らしい幸せを探していくというロマンティックコメディ『大豆田とわ子と三人の元夫』。
初回7.6%でスタートした本作は全話平均で6.1%という低視聴率でしたから、普通なら映画化なんてありえないはず。ですが、筆者の希望的観測も込みで考えると、映画化は充分あり得るように思うのです。
その理由を3つ紹介していきましょう。
■理由1/シンプルに“面白いは正義”だから
筆者に言わせれば、『大豆田とわ子と三人の元夫』は2021年のドラマでベスト3に挙げたいほどの名作でした。
本作は、恋愛ドラマの金字塔『東京ラブストーリー』(1991年/フジテレビ系)を筆頭に、『Mother』(2010年/日本テレビ系)、『最高の離婚』(2013年/フジテレビ系)、『Woman』(2013年/日本テレビ系)、『カルテット』(2017年/TBS系)といった名作を数多く手がけてきた大御所脚本家・坂元裕二さんのオリジナル作品。
そんな坂元作品だけあり、とわ子と元夫たちの緩急の効いた会話のキャッチボールの小気味よさや、女優・伊藤沙莉さんによる独特な視点で切り取ったとわ子を揶揄したようなナレーションなど、センスの塊のような作品でとにかく面白い。
エンタメ作品において“面白いは正義”だと思いますので、その点だけでも充分、映画化してもいいように思うのです。
■理由2/ビジネス的にもヒットしそうだから
坂元作品は映画でもヒットを出した実績があります。
2021年公開の映画『花束みたいな恋をした』は、有村架純さんと菅田将暉さんのダブル主演で観客動員260万人以上、興行収入35億円以上という数字を叩き出しています。260万人という数字は日本の総人口の2%程度にすぎず、たった2%の人が観てくれれば映画は大ヒットになるということです。
『大豆田とわ子と三人の元夫』の洗練された世界観は感動レベルのすさまじさでしたが、それは同時に好き嫌いがはっきりわかれる作風でもありました。“誰が観ても絶対に面白い作品”ではないのです。しかし、固定ファンはめちゃくちゃ面白いと思って視聴していた可能性が高く、視聴率はイマイチだったとしても、一定数のファンたちがその沼にどっぷりハマッていた、“深く・狭いドラマ”と言えるのではないでしょうか。
『花束みたいな恋をした』の実績から坂元さんの脚本には、お金を出してまで観たいと思ってくれる熱心なファンが付いているとも考えられます。全話平均で6.1%でしたが、その固定ファンの3人に1人でも劇場に足を運んでくれれば大ヒットとなるので、商業的にも勝算は高いように感じるのです。
また、フジテレビは世帯視聴率で一度も二桁に乗せられていなかった『シグナル 長期未解決事件捜査班』(2018年)と、同じく一度も二桁視聴率を記録していない『ルパンの娘』(2019年・2020年)も2021年に映画化しています。フジテレビ作品の近年の映画化傾向を見ても、映画化の可能性は否定できないのです。
■理由3/続編を作れる余韻がたっぷりだから
『大豆田とわ子と三人の元夫』は最終回の1話前である第9話で、まるで最終回のような展開となっていました。最後の恋の相手と思われた小鳥遊(オダギリジョーさん)との関係は美しい終幕を迎え、まだお互いに気持ちが残っているかのように描かれていた一番目の元夫(松田龍平さん)との関係性にも、前向きな決着がついていたからです。
そして最終回では、とわ子の初恋の男性という新キャラが現れたり、死別した母親のエピソードが描かれたりしたものの、三人の元夫たちとの関係性は良好なままで、愛すべき元夫たちに囲まれたとわ子の生活がこれからも続いていくというようなエンディングでした。
最終回は、道路沿いの歩道で談話していたとわ子と元夫三人のシーンで終幕。とわ子が帰路につこうとすると、元夫たちが後ろを付いていく。とわ子が「付いてこないで!」と言っても、三人はニコニコしながら付いていく――という終わり方でした。
これは4人の良好な関係がこれからも変わらず続いていくことを暗示している演出でしょうから、ストーリー的にも続編を作りやすいはず。
――『大豆田とわ子と三人の元夫』映画化の可能性を3つの理由から考察させていただきました。本作の大ファンである筆者の希望的観測が多分に含まれていますが、最終回まで視聴した方々の多くも、同じように映画化を期待しているのではないでしょうか。