【衝撃】ある作業場で次々と人が倒れる恐怖の出来事が! その原因は「ハト」がばらまいた菌だった

コラム

 

数年前、それは突然起こった。ある作業場で……次々と何人も、何人も、倒れていく。実はこの異変……ハトがある菌をばらまいたことが原因だった! 

 

それは2月下旬の事だった。作業場で働くある男性はこの数日、軽い咳が続いていたのだが……その夜に発熱。風邪だと思ったが、長引くと仕事に影響することを考え……夜のうちに救急外来へ。医師からは、インフルエンザの検査も陰性ということもあり、風邪との診断。薬で様子を見ることに。

 

その翌日……男性は解熱剤が効き、熱が下がったため出社。ところが……その日の午後になると突如、呼吸が苦しくなり、病院へ救急搬送された。CT検査の結果、男性の肺の状態から細菌が原因の「市中肺炎」だろう、と診断された。市中肺炎とは、日常生活の中で感染し、一般的な肺炎と言われるもの。その約5割は肺炎球菌などの細菌が原因と考えられている。市中肺炎と診断された男性は、そのまま入院した。細菌を殺すための抗菌薬の投与ですぐに回復すると思っていた。しかしこの時……男性の作業場内で恐ろしい事が。なんと、一緒に働いていた人たちが……次々と肺炎を発症。そして入院していたのだ! 

 

このナゾの集団肺炎に……保健所がなにかの感染症ではないかと疑い、調査を始めた。それは男性の担当医師にも伝えられた。肺炎の集団感染の原因として考えられるのは何かのウイルス。あの男性は市中肺炎ではなかったのか? ……そう思っているとさらに同じ症状の患者が搬送されてきた! 

 

医師はすぐに男性の血液と、咽頭ぬぐい液を採取。それを保健所へ送り、保健所から衛生研究所へ検査が依頼された。衛生研究所は病原体を見つける為、PCR検査など様々な検査を行った。すると男性が入院して3日目……ついに肺炎の原因が判明する!! 

 

 

■ハトの巣が意外な場所に

 

保健所の検査の結果判明した病名は……オウム病というものだった。オウム病とは、オウム病クラミジアを病原体とする呼吸器疾患で主に30代~60代の成人に発症することが多い。感染源はハト、オウム、インコなどの鳥類。それらの鳥類のうち数%は保菌しており、中でも日本中で見かけるドバトと呼ばれるハトは保菌率が20%程。ヒトからヒトに感染することはないが、感染した鳥のフンが乾燥し粉末状になったものを吸ってしまうことなどで感染する。重症化すると呼吸困難、意識障害、などがみられ、診断が遅れると最悪死に至る場合もある。

 

実は、オウム病肺炎は普通の肺炎と症状が変わらない為、診断が難しい。今回、肺炎になった同じ作業場で働く5人のうち4人がオウム病だと診断された。しかし医師が聞き取りを行っても、だれも鳥とは一切接触していなかった。そのナゾを解くため保健所の調査員は会社周辺の調査をした。

 

すると……鳥のフンが一か所に集中して落ちている場所を発見した。周囲を調べると……なんと、マンションやビルなどに巣を作る習性のあるドバトが換気扇のフードに巣を作っていた! 調査員はすぐにフンを採取……するとフンからオウム病の原因となる病原菌が検出された。

 

 

おそらく乾いたフンが、粒子となり室内に流れ込み……それを吸い込んだ人々が、感染したと思われた。最初の男性にオウム病に効く抗菌薬を投与したところ、症状が回復。入院後22日目に退院し、他の人たちも全員回復した。

 

それにしても、ハトは私たちの周りにいっぱいいる。もっと多くのオウム病患者が出ていても不思議ではないが、オウム病にかかった人は、年に10人程度と多くない。実は、そこには秘密が。オウム病の菌を保菌しているハトもその菌を排出することはほとんどない。排出のきっかけとなるのはなんと「ストレス」だという。今回のケースのハトは、冬場の寒さや換気扇という狭い空間での巣作りなどのストレスを抱えたため、オウム病の原因菌が大量に排出されたと考えられている。なので、よく街で見かけるハトから感染することはほとんどない。

 

ハトが集まる場所は定期的な清掃を実施し、感染防止に努めたい。(2020年7月28日OA)

こちらの記事もおすすめ!
「ガッキーロス」へと陥ってしまった人たちは、一体どういった種類の「ロス感」に苛まれているのか?

「ガッキーロス」へと陥ってしまった人たちは、一体どういった種類の「ロス感」に苛まれているのか?

ページトップ