清原果耶主演『ファイトソング』最終話 あの謎の伏線回収が、灯台下暗しで鳥肌もの!

コラム

citrus 堺屋大地

 

恋愛ドラマのヒット作を量産するTBS系の「火曜ドラマ」枠で、今年3月に最終回を迎えた清原果耶さん主演『ファイトソング』。最終話で明かされた劇中歌「ファイトソング」の演出について、『Smart FLASH』(光文社)でドラマ批評連載を持つ筆者が解説します。

 

 

■終盤から主人公の耳が聴こえなくなるという展開……

児童養護施設で育った花枝(清原さん)は空手の日本代表を目指していましたが、交通事故で夢を断たれ、無気力な生活を送っていました。そんな花枝が現役当時、試合前に必ず聴いていた勝負曲「スタートライン」を作った一発屋ミュージシャン・芦田(間宮祥太朗さん)と出会い、彼がいい曲を作れるように期間限定の恋人になるという物語です。

ただ、花枝は事故に遭ったときに検査した結果、手術をしなければ生死にかかわる聴神経腫瘍が両耳にあると判明。さらに手術が成功しても、耳は聞こえなくなってしまう可能性が高いとのこと。

第8話のラストで花枝と芦田は別れ、花枝は手術を受けます。第9話から物語は2年後へ。花枝は元気に登場しますが、やはり耳は聞こえなくなっており……。

一方の芦田は、2年前(第8話後の時間軸)に作った「ファイトソング」という楽曲でGOLD DISCを受賞しており、ミュージシャンとして再起していました。けれど「ファイトソング」が出来上がったのが手術後だったため、花枝は自分をモデルにして作ってくれた曲を聴くことができていなかったのです。

 

 

■謎だった「ファイトソング」を実は初回から聴いていた

最終話でお互いの気持ちを伝え合い、復縁した二人。

「ファイトソング」を聴くことができない花枝でしたが、芦田の粋な計らいによって「ファイトソング」を “感じる” ことができたのです……!

芦田は自分の肩に花枝の頭を乗せさせて、体に花枝の耳がくっついた状態でギターの弾き語りを始めます。もちろんその曲は「ファイトソング」。三三七拍子の振動が花枝に伝わり、聴くことはできずとも感じることができたのでした。

残念ながら劇中では、芦田が唄い始めたところから三三七拍子だけが響くような演出になり、どういった歌詞だったのかは謎のまま。これは花枝にどう伝わっているのかを、我々視聴者にも体感してもらうための演出だったのでしょう。

しかし、唄い出すまでの前奏のメロディはしっかり流れており、なんとその曲が毎回オープニングで使われていたインストゥルメンタル曲だったことがわかるのです……!

物語序盤から芦田がずっと曲作りに苦悩している姿が描かれており、第9話で “生みの苦しみ” の末にとうとう「ファイトソング」という曲で大ヒットを飛ばしたことが明かされたわけですが、実は我々視聴者は第1話からその曲を知っていた(聴かされていた)のです。

第9話以降は「ファイトソング」ってどんな曲なんだろう? とずっと思わされていたわけですが、このドラマのファンはとっくに脳内に刷り込まれていたという仕掛け。

そのタネ明かしをされてから考えれば、オープニング曲が「ファイトソング」だったというのはごくごく当然のことのように思えます。ですから、ちょっと考えればわかりそうなものだったとも感じますが、実際にリアルタイムで視聴していた当時は一切予想できていませんでした。

弾き語っている芦田は、映像では口パクのようになっていましたが、しっかり歌詞を唄っている様子でしたので、裏設定として歌詞はきちんとあるのでしょう。ですが、主人公である花枝が聴くことができないことを、視聴者にも聴かせないというのは大英断。

逆に花枝が聴こえないのに我々視聴者が聴いてしまうというのは、無粋にさえ思えます。

いずれにしても、灯台下暗しの最高の伏線回収。鳥肌ものでした。

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