座って考えるより "ウォーキング" をしたほうがアイデアが出る!? 偉人たちも取り入れていた創造力の向上法

コラム

 

真言宗を開いた空海は、19歳のころに私度僧となり、山林での修行に入りました。修行の地は畿内だけでなく、四国の石鎚山など遠方にも及びました。山岳を歩き回り修行していると、さまざまな着想が浮かんできたといいます。

 

空海だけでなく、歩くことで着想を得た偉人は数多くいます。古代ギリシャの哲学者アリストテレス、ドイツの数学者ガウス、フランスの思想家ルソーも散歩中に思索することを好んだといわれています。

 

ここに大きく関連するのが、このコラムでも何度か取り上げているセロトニンです。脳内で働く神経伝達物質のひとつであるセロトニンは、感情や気分のコントロール、精神の安定に深く関係している脳内物質で、不足すると脳の機能が低下したり、心のバランスを保つのが難しくなったりします。

 

消化や体調調節など、さまざまな体の働きにもかかわっているほか、セロトニンの不足がうつ病を起こすという説もあります。

 

セロトニンは、「歩くこと」と「太陽の光を浴びること」で分泌されると言われているため、その両方を満たすことができるウォーキングや散歩は、精神の安定や健康を維持するのにピッタリな習慣なのです。

 

スタンフォード大学の研究チームは、ウォーキングと創造力に関する実験を行いました。その内容は、被験者にさまざまな条件で散歩をしてもらい、その前後に創造力を測る試験(ひとつの物の使い道をいくつも考える)を実施するというもの。その結果、大部分の被験者において、散歩後のほうがいい成績が出ました。歩くことにより、セロトニンが分泌され、脳の血流が良くなり、アイデアが出やすくなったのです。

 

心と体が安定すれば、いいアイデアが浮かびやすくなるのは当然でしょう。オフィスの机の前で唸っていても、なかなかいい考えは浮かばないもの。同じ姿勢を取り続けるというのも体に良くありません。そんなときは思い切って外へ出て、ウォーキング(散歩)をしてみてください。新しい発想、いいアイデアがふと思い浮かぶ可能性が高まります。

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