海外邦人事件簿|Vol.19 お土産物にまさか麻薬が

「麻薬の運び屋」という言葉をご存じですか。国から国へ麻薬を運び、その報酬をもらう者たちの俗称です。もちろん違法行為であり、捕まったらどこの国でも厳罰に処せられます。しかし、本人が知らないうちに、この運び屋に仕立てられることもあるのです。

『ジャマイカで日本人の経営する民宿に泊まっていた日本人女性の二人組。市街で会話に苦労していたら、当地に長年滞在している日本人男性から声をかけられ、観光案内をしてもらい、食事もご馳走になった。帰国間際、その男から日本の友人への土産物としてコーヒー豆3缶を預かった。そのコーヒー缶を見た民宿の経営者が不審に思い、コーヒー缶を開封したところ、予想通り中にはマリファナが入っていた。(経営者が警察に通報し、当該事件による被害はなかった。)』

コーヒー缶にはマリファナが入っていた

『東京で外国人と仲良くなった20代のAさん。彼から一緒にブラジルのリオデジャネイロに行こうと誘われた。旅費は彼が負担。Aさんは彼と当地で楽しいバカンスを送ったあと、帰国直前になり、突然、「一緒に帰れなくなった、一人で帰ってほしい」と言われ、Aさんは彼からカバンを預かった。空港でそのカバンを機内に持ち込もうとしたところ、手荷物検査に引っかかり、調べられたら、カバンの底から麻薬が発見された。Aさんは、麻薬所持の現行犯として逮捕され有罪判決を受けた。』

麻薬の生産地から中継地や消費地、いわゆる麻薬ルートの拠点では、麻薬組織が様々な手段を使って麻薬を運ぶことを企てていますが、例に挙げたような「罪なき人」を運び屋に仕立てるのもその一つです。但し、本人がいくら無実を主張してもそれを実証するのは大変困難であり、これまでにも何人もの日本人が同様の事件に巻き込まれ、重い刑罰を受けています。

このような事件に巻き込まれないためには、自分で荷造りした荷物以外は持ち歩かず、親しくなったからといって、他人から荷物を預からないことです。特に、知り合って間もない人から旅行代を出してもらって海外旅行に誘われた時は注意が必要です。しかし、お土産のコーヒーにまで魔の手が忍び寄っていようとは。注意はいくら払っても、尽きるものではありません。

他人から荷物を預からない

(2004年5月10日掲載)

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