サッカーW杯カタール大会の決勝トーナメント一回戦でクロアチア代表に日本代表が敗退して以来、メディアやインターネット上がじわじわと……ながら “通常営業” へと戻りつつあるさなか、2019年に日本で開催されたラグビーW杯によって『ユーキャン新語・流行語大賞』の候補30語にもノミネートされ、このたびのカタール大会でも大いにフィーチャリングされていた「にわかファン」の “行く末” はどうなっていくのだろう──そんなことをふと考えてしまった。
代表DFの長友佑都選手は、敗戦の弁で
「日本サッカーの発展のためにも、Jリーグをもっと盛り上げていかないといけない」
……と、熱が冷めないうちにとばかり、日本国民にJリーグの応援を熱望。元日本代表の城彰二氏もW杯直前の9月に
「にわかファンも大事!」
……と、ファンの “新規開拓” の重要性を説いている。そして、代表CBの吉田麻也主将は、帰国直後の会見で
「これから注目度が高まるので、これからたくさんメディアに出て、露出を増やして、サッカー人気を増やそうと。メディアの皆さん、オファーぜひお待ちしています」
……と、異例のお願いをしていた。
当たり前だが、 “プレイしている側” にとって、その勇姿を観に来てくださる方が一人でも増えるのは、とても喜ばしいかぎりである。
私はサッカーにはあまり詳しくないので、身近な「野球」に例えてみよう。
この道20年で年間に約80試合をこなす、ある意味「草野球のプロ(?)」と呼んでも差し支えない(※草野球では1円も稼げていないのだがw)私にとって……たとえ、まったくのど素人であっても “第三者” が(できれば女子w)たまたまメンバーの誰かに誘われ、ベンチにちょこんと座って応援してくれただけで、そのモチベーションが爆上がりするのは申すまでもない。さらに、そのヒトがたまたまそれをきっかけに野球へとハマって、次もその次も観戦に来てくれたら……一野球人としては “信者獲得” の達成感もひとしおだったりする。過去、ウチの草野球チームでこんなことがあった。
ある日、チームメイトが二人の友人女子を試合に連れてきた。二人ともじつに可愛らしい子たちで……でも、彼女らは「フライ」と「ゴロ」の違いもわからないような(※「フライ」と「ゴロ」の違いを一から解説するのは案外むずかしい)、野球に関しては「超」の付くど素人であった。
おそらく、最初は
「強引に誘われ、ちょうどスケジュールが空いていたから、ヒマつぶしに未経験な “スポット” にでも遊びに行ってみるか…」
……程度の軽い動機だったんじゃないか? 「フライ」と「ゴロ」の違いもわからないような子たちが観てても本当に面白いのか……と、私も若干の不安はあった。
ところが、そのうちの一人の子は次もその次の試合にも顔を出してくれて、あるタイミングで、
「もし、よかったらマネージャーになって、スコアつけてくれない?」
……と、頼んでみると……「アタシにできるかな…」という一瞬の躊躇こそあったが、結局は快諾。「フライ」と「ゴロ」の違いもわからないその可愛らしい子は、野球のルールをスポンジのごとく吸収し、今では「ゲッツー」だとか「犠牲フライ」……なんて単語が自然とポンポン口から出てくる(※「インフィールドフライ」はまだ理解しきれていないようだw)、れっきとした野球女子へと “成長” している。
聞くと、彼女はプロ野球や高校野球の試合をテレビで観ながら、スコアをつける練習をしていたらしい(※プロ野球や高校野球はエラーなどが少なく、試合も動きづらいので、草野球よりスコアはつけやすい)。野球にせよサッカーにせよテニスにせよ、その競技のファンに “なりたい” のであれば、もちろん「応援すること」によって一体感を味わうもいいが、できれればあと一歩踏み込んで、プレイするなりマネージャーになるなり……どんなかたちでもいいから、少しでも深くそのフィールドに “参加” することをオススメしたい。