YouTuber兼タレントのフワちゃんが、1月15日に放送された『行列のできる相談所』3時間スペシャル(日本テレビ系)で、同日にオンエアされた “ある企画” の韓国ロケに大遅刻してしまったことを明かしていた。
“ある企画” とは、美味しいと評判の韓国のホテルや朝食を紹介する内容で、ナビゲーターとして現地に向かったフワちゃん。ロケでは韓国に詳しい紹介者としてK-POPアイドルグループの『KARA』が登場したが、フワちゃんはメンバーたちから「遅刻しました!」「遅刻しましたね!」と猛ツッコミを浴びることに。こうして「3時間」という “大遅刻” の顛末が暴かれることになった……。
この日、フワちゃんは番組内だけではなく、自身のツイッターでも
「韓国ロケにパスポートを忘れてあたしだけ飛行機乗れませんでした」
「韓国ロケ、ご迷惑おかけして本当にすみませんでした KARAの皆さんがこんなやつを優しく受け入れていただいて、、ますます大好きになりました まじヘソに縫い付けておこうパスポート」
……と謝罪。しかし、ネット上には “あらためて” 「遅刻」という行為について、賛否を問う声が寄せられているという。
「遅刻」に関するちょっとした論争は、半年ほど前にも起きている。きっかけは『2ちゃんねる』開設者である「ひろゆき」こと西村博之氏が、某トークバラエティ番組で語った「遅刻しても成果さえ出せればいい」という持論──さらに自身のツイッターに投稿した
有吉(弘行)さんがタレントとして凄い人だとしても、誰かの機嫌を伺って自分の人生を切り売りして、時給で働いている人という枠の中なんですよね。それが好きな人は成果より時間厳守でいいと思います。おいらは時間に縛られないで寝ててもお金が落ちてくる生活の方が好みです
……とのツイートであった。ちなみに、ひろゆき氏が(当時)噛みついたタレントの有吉弘行さんは「どんな現場でも絶対に遅刻しない人」として知られており(※今回のフワちゃん騒動でも「親の顔が見たいよ」とのリプライを本人に送っている)──つまり「遅刻しなくて成果も出す人」を「遅刻するけど成果は出す人」が批判するといった、ややドン・キホーテ的(※←激安店ではなく、セルバンテス作のほう)な構図であり、その “攻撃対象” の複雑さ(※本来、比較すべきなのは「遅刻しないけど成果は出せない人」だと思う)から、(約)半年前の論争はおのずとフェイドアウトしていった。そんななか、「フワちゃんの韓国ロケ大遅刻事件」をきっかけとし、ひろゆき氏が唱える「遅刻しても成果さえ出せればいい説」が再び脚光を浴びることになったのである。
さて! じゃあ「遅刻するけど成果は出す人」を、世間一般では本音としてどう捉えているのだろう?
もちろん、一緒に仕事をする側からすれば「遅刻するけど成果は出す人」より「遅刻しなくて成果も出す人」のほうがいいに決まっている。が、遅刻する側にとっては、「遅刻」が
「オレの(アタシの)遅刻を我慢してでもオレと(アタシと)仕事がしたい!」
……といった層を炙り出す効能をもたらす……みたいな理屈があるという。
私も一度、某就職系雑誌の編集長を務めていたころ、とある「原稿の〆切をなかなか守ってくれない」との噂が高かった、著名な某コラムニストさんに仕事を発注したことがある。
けっこう面識もあったし、「〆切を守らないといっても、せいぜい3日程度だろ」と高を括っていて、ガチの〆切日より1週間ほど前倒した〆切日をご本人には伝えていた。
ところが、その某コラムニストさんは私のこんな “甘い見積もり” をはるかに超えたツワモノで、校了日当日になっても連絡の一つも寄越さないし、百回近く電話をしても延々と留守電のまま……。結局は、その某コラムニストさんの住所を調べて自宅前で張り込み、その数時間後に身柄を確保。私の眼前で原稿を書かせて、なんとかギリギリセーフのタイミングで、無事入稿を終えたのであった。
たしかに、コラムの出来は完ペキだった。しかし、私はこの某コラムニストさんと「次も一緒に仕事がしたい」とは思えなかった。相手側からすると、私は「オレと一緒に仕事をするに値する者たち」のなかからはじかれたかたちになるわけだが、ゴメス的にはもうあんなヒリヒリした感覚に追われるのは真っ平ゴメンである。その某コラムニストさんのことは今でも好きであるものの、ビジネスパートナーとしては二度と付き合いたくない。
おそらく、ひろゆき氏やフワちゃんは「(何度も)遅刻するような人とは一緒に仕事をしたくない」という、ともすれば埋もれがちな層を切り捨てたうえで、現時点では需給のバランスがちょうどいい塩梅になっているのだろう。もちろん、人柄や「遅刻」の種類や度合いもあるんだろうけど……少なくとも私は「下手すりゃ原稿を落とすことも厭わないクラスの遅刻魔」より、やはり
「〆切はキチンと守って、そこそこ面白い原稿を書いてくれる人」
……と一緒に仕事がしたいのだ。