フリーランス歴30年のライターが考える「仕事がデキる人」の要素

 

「ライフスタイル情報全般」を日々ネット上に配信している大手WEBメディア『TRILL News』が、『なぜモテる? 男女問わず人が集まる「万人モテする男性」の特徴3つ』なるタイトルの記事を配信していた。とりあえず、その「特徴3つ」とは、以下のとおりであった。

 

(1)仕事ができる
(2)ポジティブ思考
(3)器が大きい

なるほど……たしかに、これらすべての要素を兼ね備えている “聖人” のようなヒトなら、さぞかし万人から愛されるに違いない。ただ、こんな風に……いわば

 

「大谷翔平選手みたいなヒトになれるように頑張りましょう!」

 

……って言われてもねぇ(笑)。あまりに漠然としすぎてて……。もうちょっと現実味のあるアドバイスも、せめて一つくらいは欲しかった。

 

が、そこらへんのことはまあいい。それよか、今回のこの記事を読んで私の脳裏にまず浮かんだのは……はたして

 

「仕事がデキる人っていうのは、具体的にはどういうヒトのことを指すのか?」

 

……という “素朴な疑問” であった。

 

私はこれまで約30年間、「フリーランスの文筆家」としてメシを食ってきたため、正直のところ(本格的な)チームプレイで仕事をした経験があまりない。さらに、直に接する “仕事相手” は90%以上が「編集者」なので、私にとっての「仕事がデキる人」とは、ほぼイコール「デキる編集者」なのだ。そして、私にとっての「デキる編集者」とは、ズバリ!

 

「私にいらん迷惑をかけない編集者」

 

……よりいっそう自分本位な表現をしてしまえば、

 

「私に心地良く仕事をさせてくれる編集者」

 

……なのである。では、「私にいらん迷惑をかけない(心地良く仕事をさせてくれる)編集者」とは、具体的にどんなヒトなのか? そのいくつかを思いつくまま箇条書きにしてみよう。

 

・お金の管理をキッチリしてくれるヒト(=ギャラや経費の振り込みを期日どおりにしてくれる)

 

・発注時にギャラの提示をちゃんとしてくれるヒト(※その額面が予想より高ければモアベター!)

 

・取材や出張とかの仕切りが完ペキなヒト

 

・経費をガンガン使ってくれるヒト

 

・インタビュー中に余計な質問を差し込んだりして会話のコシを折らないヒト(=ライター側のインタビューが終わってから、抜けていた質問項目を追加してくれる)

 

・私の原稿の誤字脱字や矛盾点を的確に発見し、やさしく指摘してくれるヒト(※あるいは修正してくれるヒト)

 

・私より年下でもフレンドリーに接してきてくれるヒト

 

・出来の良くない原稿にはハッキリ「ダメ出し」してくれるヒト(※短期的にはムッとしてしまうこともあるが、長期的には私にとっても成長の糧となる)

 

とどのつまりが、

 

「裏方に徹することができる、ホスピタリティに優れた人物」

 

……ってことになるわけだが、そういう資質の持ち主が、必ずしも「編集」という現場以外でも「仕事がデキる人」になれるとはかぎらない。たとえば、営業職だと……こうした “控えめ” な性格はむしろマイナスに転じる可能性だってあるかもだし、「経費をのべつまくなしガンガン使っちゃうヒト」は……経理職だと明らかに “無能” のレッテルを貼られてしまう。

 

一言で「仕事がデキる」と言っても、その基準は部署や職種、業種ごとに千差万別──したがって、やたら「仕事がデキる人」という言葉を多用して、人間をバッサリと「白・黒」で識別してしまうのは……あまりに慎重さに欠けた “安易な発想” だと、私は思うのだが……いかがだろう。あえて「多用」することによって、 “炎上” へと導くひろゆき氏のような戦略もなくはないのだけれど……(笑)?