熱戦続きの『ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)』──1次リーグと準々決勝は東京ドームで開催され、多くの野球ファンが選手たちの勇姿を球場で、テレビで(あるいはネットで)見届けている。また、3月12日の豪州戦で大谷翔平選手が放ったホームランボールをゲットした女性ファンが周囲の客にボールを回し、歴史的な記念球に触れる機会をシェア。 “撮影会” のあと再び女性のもとに戻ってきたり、侍JAPANに惜しくも敗れたチームにも温かいエールが送られたり……と、日本の野球ファンのアメイジングな振る舞いに、世界中から称賛のメッセージが届いている。そんないっぽうで、某女性インフルエンサーの、とあるSNS投稿が物議をかもしている……らしい。
問題となっているのは、3月10日に行われた韓国戦を観戦している彼女の様子をとらえた画像や動画──笑顔の “本人” を観客席で撮影したものだが、その(応援)ユニフォームの着こなしは、第3ボタンまでが全開状態で胸元が露わになっていた。そして、これら一連の投稿に対し、ネット上では
「球場に来る格好じゃねえな。こういったやつにチケット渡るの虚しいわ」
「球場から出ていけよ。いい年してTPOもわきまえられないのか? みっともないわ」
「こういうの本当にやめて下さい。一生懸命試合している日本代表に、野球ファンに失礼だと思います」
……ほか、反感の声が多く寄せられているという。
さて。私は身も心も……プライベートのかなり大半な部分を「阪神タイガース」……うんにゃ、「野球」に捧げている生粋の野球ファンである。もちろん、野球のことは最大限にリスペクトしているし、野球の未来を私なりに真剣に考え、ささやかな啓蒙活動にも余念がなく、野球を冒涜する言葉や行為には、ついついデリケートな反応も示してしまう。
だがしかし! こんなにも「野球愛」に満ち溢れた私からして、今回のこの女性インフルエンサーによる応援は一体どこらへんが “悪” なのか、TPOに反しているのかが、少々疑問である。女性のSNSに投稿された画像や動画を見るかぎり、胸元が大きく開いてはいるが、露出の程度としてはそれほど大きいものではなく、夏の海辺などで普通に見かけるようなファッションにも見受けられた。また、女性は自身のTikTokに、同様の服装でパブリックビューイングを楽しむ様子の動画などを公開し、野球観戦を堪能していた。
「野球の未来を常日ごろから真剣に考えている」私としては、こうやって「応援の仕方」──「野球の楽しみ方」がどんどんと多様化していくことは、とても素晴らしい兆候と思う。ちなみに、この女性インフルエンサーさんは、
「実は私、小・中学生のときにソフトボールをやっていたんです。よく家族とテレビで野球観戦もしていました」
……と後日、自身のSNSでコメントしたとのことだが、そういった言い訳なんてする必要は一切ない。もっと自分の感性を信じて、「自分が一番楽しい野球との接し方」を、悠然と公に発信すればいい。(とはいえ、周囲に迷惑をかけないある程度のモラルは必要ではあるが)
同時に「昔からの野球ファン」も、「にわか」による時おりの無知や、「ニュースタイル」ならではの想定外な光景……さらには「どうしても野球に興味を持てない層」の無関心をもおおらかな姿勢をもって包み込むように認識できる “器のデカさ” を、「明るい野球の未来」のために見せてもらいたい。