人気プロデューサーであり、『佐久間宣行のずるい仕事術』……ほかの著書が大変好評であるらしい佐久間宣行さんというヒトが、『DIAMOND online』で、お悩み相談のようなことをなさっていた。そのおおよその内容は以下のとおりであった。
Q.仕事が忙しく、なかなか出会いがありません。今までは、仕事を一生懸命やっていたら、いつか誰かが自分を見つけてくれると思っていましたが、そんな機会は全然ありませんでした。(30代男性)
A.仕事以外の場所で出会いを見つけようと思うと、ワークライフバランスをガラッと変える必要があると思います。
それに「出会いを探そう」と気負いすぎると、婚活でさえも「仕事モード」になってしまって、精神的にキツくなるかもしれません。
なので、仕事人間だという人は、仕事場での人間関係のつくり方を変える、というのが一手だと思います。
つまり、仕事とプライベートを分けて出会いをガツガツ探すんじゃなくて、仕事で接する人への態度を今までと変えるということですね。
(中略)そうするとたぶんですけど、仕事場に出会いがなくても、仕事先の人がいい人を紹介してくれたりもするんですよ。
(中略)まずは「仲がいい人を増やそう」という軽い気持ちで、「自分のリアルな人柄」が伝わるようなコミュニケーションを意識してみてください。
(「ずるい」とおっしゃるわりには?)とくに奇を衒(てら)うような記述こそなかったものの、丁寧さと誠実さが文中から滲み出てくる、とても素晴らしい “回答” だと、社交辞令抜きに思った。そして、
「出会いがないならとりあえずは “仕事とプライベートを分ける” という発想をやめてみては?」
……といった “提案” には、私も激しく同意したい。
私のこれまでの華麗なる女性遍歴(笑)を冷静に振り返ってみると、その “出会い” のきっかけは、じつに90%以上が大なり小なり仕事上で生じる関係から……だった。クライアントさんが開催してくれた飲み会であったり、クライアントさん “そのもの” であったり、撮影に来ていたモデルさんやメイクさんなどのスタッフさんだったり、現場で知り合った取材対象者さんだったり、街頭キャッチ取材で声を掛けたシロウトさんであったり……をこっそりと。そう! 我々みたいな職業の人間は、意外と交友関係が特殊かつ閉鎖的であるため、こうやって姑息な “掟破り” でもしなければ、なかなか恋人を見つけることができないのだ。いや、マジで!
拙著『モテと非モテの脳科学〜おじさんの恋はなぜ報われないのか〜』(ワニブックスPLUS新書)で、共著者である脳神経外科医の菅原道仁先生は、こう語っている。
釣り堀に行かなければ、魚は絶対に釣れません。
男女問わず「出会いがない」が口癖になっている人は、実際のところ、本当に出会いがないわけじゃないんです。正確な表現をすれば「自分のお眼鏡にかなう相手との出会いがない」だけ。「恋愛対象となる相手は、身近にもたくさんいる」と自覚することが大切!
魚を釣りたいのに、自宅で釣り番組ばかり観ていてどうするんですか?
それだと、いつまでたっても釣れるわけない。針を落とすだけで魚が入れ食いしてくる釣り堀でもいいから、とにかく足を運んでみるべき。現状が上手く回っていないなら、どこかで自分の意識と行動を変えなきゃならないのです。
「仕事が忙しい人」に無理やり「新たな “釣り堀” を開拓せよ!」とは言わない。ならば、せめて
「自分の職場も考え方一つで十分 “釣り堀” にもなり得る」
……と、意識を変えてみてはいかがだろう?