夫の「夕食は簡単にできるとんかつでいい」にキレる妻。日常に撒かれた “地雷ワード”を回避する方法

 

ある共働き夫婦の夫の発言が新聞投稿記事、テレビに取り上げられ、賛否を呼んでいるそうです。内容は……

 

夫「残業で疲れてるだろうし、夕食は簡単なもので…うん、とんかつがいい!」

 

妻「とんかつ!? ぜんぜん簡単じゃない!」

 

というもの。女性の皆さんには説明するまでもないと思いますが、男性の皆さん、このフレーズでなぜ怒られるのか、わかりますか? この男性は、三つの地雷を一気に爆発させてしまっているのです。

 

 

■とんかつ問答に潜んでいた三つの地雷

 

【第一の地雷】食事は妻がきちんと作るべき?

 

私たちは、実際には言っていないことまで解釈することがあります。例えば「今日買ってくれるなら5000円でいいよ」と言われた場合、私たちは「普段は5000円以上なんだ……」と解釈します。「今日は休んでいいよ」と言われている人をみると、「この人は、今日出勤する日だったんだ……」と解釈します。

 

「疲れているだろうし、簡単なものでいいよ」と言われると、食事は妻がきちんとしたものを作るのがデフォルトかと解釈してしまうこともあるわけです。そうなると「私も働いているのに、家事も全部私?」「簡単でいいよって、何この上から目線は!?」といった気持ちになることもあります。

 

共働きの妻は、仕事をしたうえで家事までやらなければならないことに対し、大なり小なりの不満を抱えています。「○○するのがあたりまえ」といったニュアンスが漂うフレーズは“地雷ワード”です。

 

【第二の地雷】無神経さに腹が立つ

 

「簡単なもの→とんかつ」というセンスも残念です。たしかに、調理にかかる時間やプロセスはそう大変ではないかも知れません。しかし揚げ物は、女性にとって相当の覚悟が必要な気合いメニュー。

 

油を大量に使う、はねた油でやけどして肌にシミができるリスク、火事の心配……これらの心理的ハードルを乗り越えるのは、疲れているときには難しいものです。それを「簡単なもの」と言い放つ夫の無神経さ。そこに女性は腹を立てるのです。

 

【第三の地雷】後片付けの大変さを想像できていない

 

疲れているときに、簡単だと言い放たれた「とんかつ」。そんなセリフが吐けるのは、後片付けやキッチンの掃除、その少し先にある換気扇の掃除などの大変さを想像できないから。部屋の掃除やキッチンのメンテは意外に大変。特に揚げ物をしたら、なるべく早めに換気扇や天井なども念入りな掃除をしておかないと面倒なことになります。

 

女性は理解と労わりの言葉が欲しいのです。大変さをまったく想像できないと思わせる発言に、女性は腹を立てるのです。

 

「怒るのはわかったけど、あちこち地雷が多すぎてどうしようもない」と思うでしょうか。地雷に共通しているのは「わかってくれない」という妻の想い。夫が「わかるよ」という気持ちを伝えるフレーズをいくつか覚えれば、妻の満足度はあがるのです。

 

■夫婦の日常に潜む地雷ワードと回避ワード

 

男性のみなさん、お待たせしました。日常に潜む地雷ワードと回避ワードの例を紹介します。ゆっくりと勘所を掴んでいきましょう。

 

・誘発型地雷ワード「なんでもいい」

「今日は何が食べたい?」という妻の質問に対し、無意識のうちに夫が回答してしまう「なんでもいい」という地雷ワード。「キミが作りやすいものでいいよ」という気遣いのつもりかも知れませんが、女性には「無関心」だと伝わります。「わかってほしい」と思っている妻にとって無関心は大敵です。

 

→「できれば、○○がいいな」で回避

「今日は何が食べたい?」ときかれたら「できれば」をつけて希望を伝えてください。少なくない確率で「それは無理」という答えが返ってきますが「じゃあ聞くなよ」という言葉はのみこんで。「そっか、大変だもんね。キミは何がいいと思う」と返せれば満点です。

 

・反射型地雷ワード「手伝ってるじゃん」

やっと仕事を終えて帰宅し、疲れた身体にムチを打ち家事に手をつける妻──ふとソファのほうに目をやると、寝転びながらスマホをいじる夫の姿が。すかさず「少しくらいは手伝ってよ!」と言いたくなります。その怒りを増幅するのは夫が反射的に口にしてしまう「手伝ってるじゃん」という言葉。「手伝っている」には「本来はキミがやるべき仕事」という意味が含まれます。発言していないことまで解釈されることに辟易するかも知れませんが、こういった含有のコミュニケーションは日本語だと特に多いと感じます。仕方がないです。

 

→「気がつかなくてごめんね」で回避

「なんで怒ってんの……!?」と思ったときの万能ワードです。自分が悪くない場合でも、気がつかなかったことだけを謝るのならば精神的にも許容できそうです。仕事を終え、やっとリラックスしているときに、突然攻撃されれば正当性を主張したくなるのも当然です。でも夫婦間コミュニケーションで大事なのは“正しさよりも思いやり”。妻からの奇襲に対する万能フレーズ「気がつかなくてごめんね」で炎上を防ぎましょう。

 

自爆型地雷ワード「飯どうする?」

共働きの妻が疲れてぐったりしている。体調が悪そうにしている。こんなときに言ってはいけないワードがこれです。単に食事をどうするか聞いただけでは!?と男性は困惑するかもしれませんが、妻には食事の催促に聞こえてしまいます。体調の悪いときに、気遣いの言葉もなく、自分の食事の心配を優先させたように感じるため、悲しくなり、怒りだしてしまうのです。

 

→「ごはん買ってこようか?」で回避

「あれ、今日は飯どうするのかな……」と思ったときには、迷わずこのフレーズを選んでください。休日に妻が出かけるときなど、食事についての質問をしたいときには、余計なことは考えず、すべてこれに言い換えてもいいくらいです。

 

 

■日本の男性は世界一家事をしない?

 

ある調査によると、1週間で家事にかける時間の平均は、男性が12.0時間、女性は53.7時間(配偶者がいて18歳未満の子がいる場合)。なんと調査対象となった38カ国のうち最下位だそうです。これは決して日本の男性が思いやりに欠けるということではないと思います。男性のほうが勤務時間が長いというデータも、男女の収入差のデータもあります。男性には家事ができない理由はたくさんあるのです。そのぶん日本の女性は頑張っています。

 

女性がどうしても頑張れないとき「わかってほしい」という気持ちが強くなります。「なぜわかってくれないの?」という気持ちが怒りに繋がることもあります。夫婦ゲンカの調査によると、30代の夫婦で妻が先に怒り始める率は55.9%、夫が先に怒り始める率は23.6%だそうです。安心してください、あなたの奥さんだけが怒りっぽいのではありません。

 

男性の皆さん、頑張っている妻に「わかるよ」が伝わるねぎらいの言葉をプレゼントしてあげてください。女性の皆さん、鈍いけれど悪気はない夫を攻撃する前に「頑張ってるから褒めて~」と伝えてみてください。きっと夫婦のコミュニケーションが少しずつスムースになっていくはずです。

 

※情報は2017年7月12日現在のものです