先週だか先々週だかの『サンデーモーニング』(TBS系)を観ていたら、スポーツコーナーでレギュラーご意見番を務める「ハリー」こと張本勲氏(79)が、例のごとく誰だかに「喝!」を入れたとき、総合司会の関口宏氏(76)が
「(張本氏が)喝を言ったのは久しぶりのような気がする」
……みたいなツッコミを、唐突に入れていた。すると、それを受けた張本氏が、あやふやな記憶でしかないのだけれど、たしか
「そうでしたかね? 関口さんはあまり喝が好きじゃないから」
「まわりから文句が多いらしいよ」
……みたいな愚痴を、いかにも不満そうに漏らしていた。
私は『サンデーモーニング』に関しては「見たり見なかったり」な感じだったりするので、実際に喝回数が何割ほどの比率で減少しているのかは定かじゃないのだが、まあ毎週顔を突き合わせている関口さんがこう指摘しているのだから、たぶんそうなんだろう。しかも、そのようなことを報じた記事にあるコメント欄には、こんな風な声が多く届いていた。
「張さんの尺度で判定するんだから、それでいいのでは? そういうコーナーなんだからね。もし不快に思うなら見なければいいだけの話」
「世間には色んな意見があって当たり前で、中には胸をすく思いをしている人もいるはず?」
「(渇が減ってから?)コメントが面白くなくなった」
「自由にやったらいいと思うけどな。頓珍漢なこと言っているときもあるけど、嫌いじゃない」
「喝を頑張って入れ続けて欲しい!」
喝入れしたらしたでボコボコに叩きまくるくせに、少なくなったらなったで淋しがるとは……いやはやネット住民とは気まぐれなものですな。ただ、ここで私が語る「ネット住民」とは、あくまで「インターネット上での現象的な傾向」を「住民」と比喩的に総称しているだけであって、「ボコボコに叩きまくる住民」と、今回このコメント欄に意見を寄せている「喝に好意的な住民」は、ほぼ大半が別人なことくらいはわかっている。もちろん、私も「世間にはいろんな主義・主張があるのだから、自由にやればいいのでは」派だ。
さて。ここまでの経緯で私が注目したいのは、先述した張本氏の愚痴「まわりから文句が多いらしいよ」といったくだりの「〜らしいよ」の部分である。そう。かつてネットでは日曜日が来るごとに「張本批判」の罵詈雑言が飛び交っていたのに、張本氏本人はそのバッシングの嵐を「〜らしいよ」程度にしか認識していない……という事実に私は驚愕した。
おそらく、張本氏はネットなんて、普段から全然見てないのではないか。下手したら見方すら知らないのかもしれない。
お笑いコンビ『南海キャンディーズ』の山里亮太氏(42)が、自身のラジオ番組で
「張本さんが無敵なんでしょ? やっぱり、この時代何が強いかって、SNSを見ない人が一番強いんじゃないかなってね」
……と言っていたが、「ネットと無縁な人こそが今の時代は最強」なのはまったくもってそのとおりで、この山里発言には私も激しく同意する。そして、ネットとは無縁でも人生を逃げ切ることが可能な張本世代が、私はちょっぴり羨ましくもある。私ら世代だって、本気で「ネットと手を切ろう」と決断すればできるはずなんだが……残念なことに私にはその勇気が、まだない。