世界的なスポーツ関連メーカーのNIKEが開発した厚底シューズが、世界陸連の新規制によって、オリンピックをはじめとするトップレベルの大会での使用を禁止とする可能性があることを英国紙が一斉に報道。その行く末に注目が集まっている。
足への負担を減らしつつ、「前(方向)への推進力をアップする」という触れ込みで、トップアスリートからランニング愛好家にまで重宝され、爆発的に売り上げを伸ばしているらしく、実際、この厚底シューズを着用したマラソンや駅伝の選手も次々と驚異的な記録を叩き出しているという。
日本でもこの問題に関しては方々のメディアが大々的に報じており、1月17日に放送された朝の情報番組『とくダネ!』(フジテレビ系)では、メインMCで元陸上部の小倉(智昭)サンが、
「(東京五輪がまもなくに迫っている)この期に及んで禁止にでもなったら、今までコレを履いていた選手が調整に苦しむのでは…」
……みたいな内容のことを熱く語っていた。共演している、とあるコメンテーターも
「今の時代、道具を選ぶのも選手の能力」
……みたいな内容のことをおっしゃっていた。
テレビやネット上をザッと眺めるかぎり、「規制」に対する意見は「賛」より「否」のほうが圧倒的に多い印象を受ける。私は生粋のランニング嫌い(※中学時代は陸上部の中距離選手だったので、もう走るのはコリゴリなんですよー)なので、この厚底シューズの魅力がイマイチよく実感はできないのだが、連日ご丁寧にシューズの分解図までを準備して機能性云々について執拗に説明されたら、その素晴らしさの一端くらいは、さすがに理解できる。「走る」ためではなく「歩く」ことを楽チンにするため、ちょっぴり欲しくなってしまったりもした。つまり、逆説的には「規制を考えなければいけないほどの優れモノ」であることが証明されたわけで、しかも世界中がこぞってその「証明」を詳細にかつタダで宣伝してくださるのだから、NIKE側としてはまさに「棚からぼたもち」のウハウハ状態なのではなかろうか。
もちろん、私も今回の「規制」に関しては「否」の見解を示す一人である。野球に例えれば「バット」を規制するようなもの。プロの世界で金属バットやビヨンドバットといった“異素材”を規制するのはしょうがないにしても、木のバットだって1センチ・1ミリでも遠くに飛ばすため、メーカーさんの企業努力によって日々進化を遂げている。「飛びすぎること」を憂慮するんだったら、選手個人が厳選するバットではなく、競技参加者が共通に使用する「ボール」にこだわるべきなのだ。
さて。この理屈をマラソンや駅伝競技に置き換えてみよう。野球のバットに相当するシューズの優劣を“不公平”とするなら、いっそ全員「裸足」でやればいい。そして、「裸足だと足に負担がかかる」と言うなら、野球の「ボール」に相当する「走行コース」のすべてを、裸足で走っても安全なまでに改良すればいい。
予算面ほかモロモロ……「我ながら実現性に乏しい極論だな」との想いがよぎりはしたものの、なんと! コレとよく似た暴言を吐いている人物を、それなりの視聴率を稼いでいる地上波『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)で発見した。長嶋一茂(53)である。
「不公平をなくすというのであれば(方法は)二つしかない。一つは全員裸足と全裸で走ればいい。それが無理ならナイキが(同じ)道具を(競技者全員に)提供すればいい」
一茂とはいえ、元プロのアスリートが自分と同じ考えを持っているという事実にホッとした。ただ、私は「全裸」とまでは言っていないが……(笑)?