『FRIDAY DIGITAL』が、昨今「(闇営業ではない)アルバイトをする芸能人」が、にわかトレンドになりつつある……みたいなことを報じていた。いくつかの例を挙げると、元AKB48の「ぱるる」こと島崎遥香(25)は「新宿区内の焼き肉屋」、元フィギュアスケート日本代表でタレントの村上佳菜子(25)は「台東区のカフェ」で働いている……らしい。
もちろん、彼女らクラスにそこそこ名前が売れている芸能人がアルバイトに勤しむのは“お金”目的ではなく、若いうちから芸能界やスポーツ界にどっぷり浸かってきたがゆえ、ともすれば一般人とはズレがちな“常識”や“金銭感覚”などを軌道修正する、いわば「社会勉強の一環」なのだという。
さらに、バラエティ番組では、珍しいバイト経験やバイト中のエピソードがあると、そのタレントを起用しやすくなる……といったメリットもあるようで、“バイトしなくても食っていけるタレント”にさえアルバイトを推奨する芸能事務所も増えているんだとか……。
私もここ数年、「バイトしてみようかな…」なんて考えが冗談じゃなく、しょっちゅう脳裡をよぎったりする。一応、(現時点では)バイトしなくてもどうにか食っていけるくらいの収入は稼げている。が、私は大学時代、時給が高くて昼間に働かなくて済むという好条件にかまけて、救急病院の夜間医療事務を3年間ずっとやっており、他のアルバイト経験がほぼ皆無なのだ。
できれば、コンビニだとかチェーン系の飲食だとか……そういう普通のバイトをやってみたい。パチンコ屋も楽しそう? 出る台・出ない台をバイトしながら研究できたりもして……? (※今の新コロナウイルスが猛威を振るうご時世では、ちょっと厳しそうだが)
一度、草野球のチームメイトである、某人気お好み焼き屋のオーナーに「ボクのこと…バイトで雇ってくれない?」と、わりに真剣な表情と口調で尋ねてみたことがあるのだが、「それだけは絶対に嫌です!」と一蹴された。「気まぐれに軽々しい口叩くんじゃねーよ! 飲食の仕事をナメるな!!」とでも気分を害されたのだろうか? それとも、プロの目からジャッジすれば、私に致命的な飲食に向かない要素があるのだろうか? なんとなく清潔感に欠けるとか……。あるいは、単純に今年で満58歳という年齢がアウトなのか? 20歳も年上のバイトって扱いづらいでしょうしね……。その「絶対嫌!」な真の理由はわからない。
とは言え、こうしたコネでもないかぎり、年齢一つ取っても「私ができるバイト」は相当に限定されてくるに違いない。ならば、やはりコンビニ? もちろん、先にも申したとおり、コンビニだって全然かまわない。なぜなら、私のような「コラムニスト」の職に就く人間にとっては、コンビニバイトでも十分にネタになり得るからである。ましてや「還暦間際で初チャレンジ!」とくれば、数本コラムを書いて10万程度の小金に変える自信もある。それなりに長く続けたら「コンビニに詳しいライター」の肩書きをつけ加えることだって、可能かもしれない。
ただ、コンビニを利用する際、そこで働いているヒトたちを観察していると、袋の大きさやお箸やフォークの分別やら、お客さんがいないときに素早く商品を棚出ししたりやら……けっこう臨機応変にテキパキといろんな業務をこなしている。もたもたレジを打っていると、短気なお客さんから叱られもする。こんな複雑な作業……はたして「定番的なバイト経験ほぼ皆無」な私にできるのか? 年下に使われることに関しては、まったく気にならない。けれど、「初老ならではの物覚えの悪さ」が、とにかく私は不安で不安でたまらない。だから、コンビニバイトの門を叩く勇気が、いつも門前で萎えてしまうのであった。