公に向けて発信する原稿では当然のこと、ビジネス上での個人対個人のメールのやりとりですら「名前の表記ミス」が、時にとんでもない事態を巻き起こすケースは多々あったりする。とりあえずはライター歴約30年の私が、過去の仕事でやらかしてしまった致命的な失敗談を、恥を忍んでこのcitrusにて紹介してしまおう。
1. 「小室哲哉」を「小室等」と書き間違えてインタビューを断られた事件
まだ、小室哲哉がブレイク間近だったころ、とある日刊紙で “先物買い” 的に特集を組むことに。ところが、企画書に「〜で、昨今ご活躍中の小室等様に2ページのインタビューをお願いしたく存じます」と書いてしまい、そのまま提出。先方からは「せっかくの申し込みで恐縮なのですが、スケジュールが合わず今回は云々〜」とお断りの文面が。そして最後に「あと、弊社がマネージメントしているのは小室等さんではなく小室哲哉です」とチクリ。たぶん、この表記ミスが同インタビューの実現に到らなかった大きな要因だったのでは……と、今でも私は後悔している。
2.「相武紗季」が一文字も合っていなかった事件
とある女性向けビューティ雑誌に掲載されるコラムで相武紗季について書いたときのこと。文中に彼女の名前が少なく見積もっても5つ以上は登場していたのに、その全部を「愛部沙樹」と表記。不幸中の幸いか、校了間際にそのミスを担当編集者が発見してくれたので大事には到らなかったが、「一文字も合ってないじゃないですか!」と大目玉を喰らってしまった。
3.某大物女子アナと大物歌手の名前をAV女優の芸名にしてしまった事件
「滝川クリステル」のことを一時期AV女優として活躍していた「滝沢クリステル」と、「倉木麻衣」のことをやはり一時期AVに出演していた「倉本まい」と勘違いして「倉本麻衣」と表記したコラムを寄稿。ネット原稿だったので即行で修正はしてもらったが、それでも約一日ほどはそのまま放置されていた……。100%私が悪いのに「著名な女優やアイドルや歌手と一文字違いの芸名つけるのはやめようよ!」とAV業界に逆ギレ?
4.「小泉進次郎」を二通りに間違え、わりと長い期間そのまんまだった事件
すみません! コレ……citrusでの “やらかし” です。「小泉進次郎」をなんと! 「小泉新次郎」「小泉進二郎」の二通りで表記ミスしてしまった。しかも、けっこう長い期間放置されていた記憶がある(もしかするとすごく昔の記事はまだそのままかもしれない)。言い訳するわけではないが小泉進次郎クラスの著名人だと「こいずみしんじろう」とパソコンで打っただけでちゃんと正しく自動変換してくれると、私は勝手に高を括っていたのだ。
5.某報誌の表紙でキムタクを「木村拓也」と表記してしまった事件
某若年男性向け情報誌の、それも表紙で「木村拓也独占インタビュー」との、あり得ないニアミスが! 正確には私が犯した失態ではなかったのだけれど、表紙の校了紙は私も見ていたので、そこで気づくべきだった。ただ、誤字って何故か細かい箇所より表紙とか大きな見出し文字のほうが見落としちゃいがちなんですよね〜。「まさか、ここでそんな間違いが!」って心理なのか? たしか、出版差し止め一歩手前にまで発展した、まさに大事件であった。
さて。最近は、文筆の世界でもネット原稿が主流になってきているせいか、こういった名前表記のミスや誤字脱字に対する我々の意識も低くなりつつあるのも紛れない事実であり、もちろん私も自戒の意味も含めて、そこらへんには万全の注意を払っているつもりだが、誰もがインターネット上で簡単に意見できる環境にある今日このごろ……プロだけではなくアマチュアにも同じことが言えるのではなかろうか。
たとえば、数日前。ウーマン村本がアンジャッシュ渡部の不倫騒動に物申していた記事の下にあるヤフコメ欄に、ウーマン村本を叩く罵詈雑言が多く書き込まれていた。そして、そのなかに村本のことを「村上」と記していたコメントがあった。このご時世にもう「ネットとはいえ、匿名で人を攻撃するのはやめましょう」なんてことをとやかく文句するつもりはない。しかし、他人の批判を並べる文章をまがいなりにも “一般公開” するなら、いくら匿名でも素人サンでも、せめて外に出す前に名前の再チェックくらいはしましょうよ……とだけは忠告しておきたい。一応、そのヒトを特定してご自身の見解を述べているわけですからね。こき下ろすにせよ最低限の礼儀はわきまえるべきだと思うのだが、いかがだろう?