『今年の新語2020』の選考発表会が11月30日に都内で行われ、その「選ばれた新語のランキング」が公開された。
同会は、他の新語・流行語ランキングとは違い、『大辞林』『新明解国語辞典』といった三省堂の辞書を編んでいる“言葉の専門家”の方々が「2020年を代表する言葉(日本語)で、一過性ではない、将来、辞書に掲載されてもおかしくない言葉を選ぶこと」を主旨としている。
そのため、選ばれるのはあくまで「今年とくに広まったと感じられる新語」であり、必ずしも「今年生まれた言葉」には限らないのが特徴なのだという……と、そーいうわけで、2020年の“大賞”と“ベスト10”は以下のとおりであった。
大賞(1位):ぴえん
2位:○○警察
3位:密
4位:リモート
5位:マンスプレイニング
6位:優勝
7位:ごりごり
8位:まである
9位:グランピング
10位:チバニアン
<選外(コロナ枠)>
ソーシャルディスタンス・ステイホーム・クラスター・アマビエ・ロックダウン・手指(しゅし)
「日本語じゃなく外来語じゃん!」「コレ、本当にそこまでちまたに浸透しているのか?」……なんてツッコミを入れたくなるワードもいくつか混じってはいるものの、「ソーシャルディスタンス」をはじめとする一連の「コロナ枠」を「一過性の強い言葉」として、あえて“選外”に持っていくあたりは、たとえばユーキャンの新語・流行語大賞などとはまた一線を画した、なかなかに硬派なチョイスだと言えよう。
で、今回ここcitrusで私が声を大にして主張したいのが、見事大賞に選ばれた「ぴえん」について。じつは、この「ぴえん」……すでに8ヶ月も前にワタクシ山田ゴメスは目をつけていて、しかもYouTubeで特集までしちゃっているのだ。(※正確に申せば、目をつけたのは“ワタクシ”ではなく、このYouTubeを企画立案したスタッフの皆さんなんだがw)
本作品のタイトルはズバリ!『若者と話が合わなくなったら見る動画』。
講談社が配信する、普段はメイクやエクササイズ動画をアップする女性向けチャンネル『TOKYO WOW』内で、なぜか満58歳の初老男子・ゴメスと、40歳手前で身長2メートル弱のイケメン編集者・F氏が、若い女子をゲストに招いて最新の流行を学ぼうとする、謎のキワモノ企画である。
前半しばらくはおっさん二人のぐだぐだな会話が続くのだけれど、中盤あたりからはちゃんと23歳のかわゆい(←死語?)ViViガールを交え、「ぴえん」の意味や使い方を、一応学習している。
念のため、「ぴえん」とは「軽い泣き声を表現した、おもにSNSで使用される言葉」であって、本来は「今日の試験、全然ダメだった、ぴえん」……と、文末に独立したかたちで付け加えるのが正しい使い方……なのだそう。正直、8ヶ月前は意味すら全然わからず、それを教わったうえでの使い方もかなりピントがズレていた。
なのに、そんな若者間のみで流行した隠語的ワードが、たった1年弱でこうやって日の目を浴び、日本語のプロ中のプロフェッショナルであるおじさまたちが選考発表会の壇上で、
「ぴえんて泣いているのは見たことないけど、言われてみれば、ぴえんだなって。今は『ぴえんな〜』って言い方はありますか?『ちょっとぴえんな状況になってしまったよ』『全然、ぴえんだよ』って言うのは大丈夫? では、形容動詞だ……」
……みたいに議論をなされるまでメジャーになってしまったわけだから、「私(ら)の先見の明もたいしたもんだ!」と自画自賛したい。ただ、こんな風にフィーチャーされ、アレンジとかが施されている時点で、若い世代にとっては「終わってる言葉」……なんでしょうな、間違いなく(笑)?