年始三が日くらいになると、“去年”の大晦日夜に放送されたNHKの『紅白歌合戦』(以下、「紅白」)と、日本テレビ系の『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで 大晦日年越しSP!!』(以下、「ガキ使」)に関する“寸評”が、視聴率と絡めながらメディアを賑わすのが恒例となりつつある。
たしかに、毎年12月31日は18時ごろからカウントダウン直前までは、テレビのリモコンをほぼ握りっぱなし……なんて御仁も多いのではなかろうか。私はすでに10年以上欠かさず、そういう大晦日の夜を過ごしている。むろん、紅白とガキ使の間を頻繁かつ忙(せわ)しなく“行き来”するからだ。
まず、事前に紅白のタイムテーブルをネットなりスポーツ新聞なりでチェックして、興味のない歌手のときはガキ使にチャンネルを合わせ、ガキ使メンバーがぐだぐだで間延びしているときは、また紅白に戻る……。延々その繰り返し。一応、“保険”としてガキ使は録画もしておく。だから、リアルタイムの視聴比率は「紅白7:ガキ使3」といったところか? そして、テレビの前で年を越す人たちにとってこの数字は、わりと最大公約数、スタンダードに該当するのかも……と、私は勝手に推測している。
で、2020年度のこれらの番組の視聴率だが、紅白は後半の平均世帯視聴率が40.3%と、前回の37.3%から3.0ポイント上昇し(※前半は34.2%で、前回より0.5ポイント減)、2018年の41.5%以来、40%台への回復を果たした。いっぽうのガキ使は前半が12.7%と、前回の11.4%から1.3ポイント上昇し(※後半は9.8%で、前回より0.5ポイント減)、紅白裏の民放内ではトップの座を11年連続で獲得した。
さて。ネット上で散見される後追い記事や、その下にあるヤフコメ欄などをザッとながめるかぎり、とりあえず紅白のほうは、視聴率に比例して、おおむね好評だったようである。その「好評」の主だった論調を大きくまとめてみると、
・総合司会を務めた「ウッチャン」こと内村光良(56)と、白組司会の大泉洋(47)、紅組司会の二階堂ふみ(26)の抜擢がズバリ的中した(とくに、「司会役を演じていた」とも言われている二階堂ふみの堂々たる語りと如才ない進行ぶりは卓越していた)
・新型コロナショックの影響における無観客、それに例年のサムい小芝居などのカットが功を奏し、シンプルな「歌番組」として観ることができた
……みたいな感じになるのだけれど、そこにいたっては私もまったく異論はなく、「どうせガキ使は録画してるし…」と、今年は「紅白9:ガキ使1」の比率でテレビの前に……。リモコンが“活躍”する機会もほとんどありませんでした。それにしても、キーちゃんはどこまで“進化”し続けていくのだろう(笑)?
対する、ガキ使であるが、
・コロナのせいで、いろいろ制約があったのはわかるが、それにしてもスベっているケースが今回は多かった
・マンネリ感が拭えない
……と、こっちは「これまでで一番つまらなかった」なんて辛辣な意見がけっこう目立っていた。なかでも不評だったのが、過去の名場面集をクイズ形式で紹介する企画と、第7世代との対決企画に、『新しい地図』のメンバーの下ネタ系だったようだが、録画されたモノを視聴したら……いつもよりもテンポが良くて、そこまで悪くはなかったと私は思ったんですけどね……?
そりゃあ、「コロナのせい」で従来よりは運動量って意味での“動き”は控えめだったし(※皮肉にも「過去の名場面集」と比較することになり、そこが浮き彫りとなってしまった)、第7世代の面々は大御所を前にビビっていたのか微妙にキレがなかったし、去年と連続となった『新しい地図』の下ネタがより痛々しかったのは認める。が、これはこれで“時流に合わせたチャレンジ”ということでアリなのではないか?
あと、かつて、松本人志は「ガキ使レギュラーのココリコをフットボールアワーに、千鳥に、チョコプラに代えないか?」と、吉本興業の上層部から何度も打診され、「それは違う、この番組は5人が家族やからちょうどいい…そりゃフットのほうがおもろいけどな(笑)」と固辞した過去を告白している。そう、“お茶の間”に家族一同が揃って談笑する年末年始の“和みの場”には「やみくもなアグレッシブさ」だけではなく、「そろそろ来そう…」的な程よい「マンネリ感」も、また不可欠なのである。