毎日新聞によると、新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、航空会社の機内食販売がひそやかに人気を集めている……らしい。「飛行機に乗って海外に行けないから、せめて機内食でも食べて旅行気分を味わいたい」という顧客の要望に応えた新サービス……なんだとか。
たとえば、ANAは2020年12月から「おうちで機内食を」とインターネットで3回販売し、そのいずれもが数日で売り切れ。JALも、やはり去年の7月から千葉県成田市にあるレストランや道の駅で提供を続け、今年1月には海外でも販売を開始するという。
たとえば、ANAが1月26日から新たに販売を予定している「洋食と和食の各詰め合わせ」は、1セットがいずれも3種類の4食入りで総額9000円!「ややお高めなのでは…?」と感じなくもないが、洋食メニューは、赤ワインで煮込んだハッシュドビーフ▽ビーフハンバーグステーキ デミグラスソース▽シーフードのトマト煮 バジル風味。和食メニューは、牛すき焼き丼▽鳥唐揚げと彩り野菜弁当▽白身魚照り焼き……と、なかなかにゴージャスなラインナップで、しかも4食のセット(1食あたり約750円)になっているのならば、それなりに妥当な価格だと言えなくもない。
いずれにせよ、時流に合わせたとても素晴らしいアイデアだと思った。たしかに機内食ってえのは、腕利きのシェフや人気のデリバリー弁当店がどんな趣向を凝らしても、絶対に真似できない独特のオーラをかもし出す、まさに“特別食”だ。
私はまだファーストクラスを利用したことが一度もないので、そっちのほうのスペシャルメニューの味は想像もつかないのだけれど、少なくともエコノミークラスにかぎって申せば正直なところ、そこまで美味いもんじゃない。しかし、あの狭苦しい席で両肘を内側に畳んで、小さなテーブルの上に乗った料理とミニボトルのワインをこぼさないよう冷や冷やしながら食べる“ささやかなディナー”は、「ああ…これから海外に行くんだなぁ」「あ〜あ…もうすぐ日本に着いちゃうんだなぁ…」という高揚と寂寥をもっとも実感できるひとときである。
コレって、コンビニでも売ってくれないんですかね? エコノミーのメニューで全然OKですから! 一食1000円までならボク、買っちゃいますよ〜! 最近のコンビニフードは、セブンイレブンの『すみれ』の味噌ラーメンをはじめとし、有名店の看板料理なんかもかなり忠実に味の再現が施されてるので、その技術を駆使すれば、ほぼ完璧に“同じモノ”が出来上がるのではないか?
ただ、願わくば……ってよりは必ず! 容器も素材からサイズまで、一寸たりとも違わない仕様にしてもらいたい。もちろん、切りにくくて刺しづらい小さめのナイフとフォークも……。もし、JALサンやANAサンが、ここまで徹底的にこだわってくださるなら、私たちは「せめてもの海外旅行気分」を「おうち」で、100%とまではいかなくとも、20%……いや、30%くらいは楽しめるのではなかろうか? 同居人がいる場合は、リビングのソファーとかじゃなく、あえて椅子を隣合わせてギュウギュウ状態になりながら……ね(笑)?