全国小学校で増えつつある「友だち同士のあだ名禁止」が、もしちまたのスタンダードとなったら?

 

昨今、「友だち同士によるあだ名の呼び合い」を禁止し、名前には「さん付け」することをルールとする小学校が、全国で増えつつあるという。

 
「バカ」だとか「ブス」だとかの侮蔑的な表現や身体的特徴を揶揄するあだ名が、本格的ないじめにつながるとの観点から生まれた対応らしいが、

 

 
「あだ名は友だちと仲良くなるためのきっかけになった」

 
「結局、その場でルールを守るだけの子が多くなるだけでは?」

 
「かえって、裏で陰湿なあだ名が横行しそう」

 
……など、これらのルールに疑問を呈する意見も、ネット上には少なからず寄せられているようだ。

 
そりゃあ、「まさひろ」というファーストネームの子を「まーくん」、「山田」というファミリーネームの子を「やまちゃん」と呼ぶのもダメとなれば、それはあまりにもお行儀良すぎな気もしなくはない。かといって「まーくん・やまちゃん的な省略形愛称や相手を貶めないあだ名は可」みたいな“例外”を中途半端に認めてしまったら、“現場”は混乱するばかり……。だったら、いっそ「あだ名は全面禁止にして、その代わりとして『さん付け』を推奨する」という、大雑把な基準で校内をざっくり規制してしまいたくなる心情もわからなくはない。

 
たしかに、まだ物事の分別がつかない子どもが付けるあだ名は、得てして容赦無く、ときにその秀逸さが、より残酷さを際立たせるケースも多々あったりする。あまりに秀逸すぎるものはもはやここでは紹介できないが、まあシンプルな一例を挙げるなら、「先生やクラスメートから声をかけられても常にボーッとしていている子」は「ぼっちゃん」(侮蔑的な表現)だとか、「ホームベースっぽい顔型の子」は「べーやん」(身体的特徴の揶揄)だとか……まあ、そんな感じか?

 
そして、もし。こうした風潮のスタンダード化がもっとエスカレートしていけば……メディア全般にも、とくにお笑いの世界には相当に大きな影響を及ぼすことが推測される。

 
まず、見た目そのまんまでクレイジーキャッツのハナ肇さんが命名したとされている「高木ブー」は一発アウトだろう。「たけし軍団」の芸名も半分以上はアウト。あと、有吉弘行が再ブレイクを果たす際に披露していた「おしゃべりクソ野郎(=品川祐)」……ほかの「共演者いじり」も禁じ手に。「ダウンタウン」のマッちゃんもハマちゃんも「松本さん」「浜田さん」、下手すりゃ「チョコプラ」なんかも「チョコレートプラネットさん」と「正式名称+さん付け」で……。ちなみに、「顔のつくりが南方系だから」と(当時)某暴走族雑誌の編集長だったH氏に命名していただいた「山田ゴメス」もアウトである。近々、改名を余儀なくされる……なんてことも???

 
どことなく息苦しい世の中だなぁ……とは思いつつも、たとえば、「スチュワーデス」や「看護婦」……といった職業名がいつの間にか「NGワード」扱いされていることに、そこまでの喪失感も違和感も抱いていない我々の現状を鑑みるかぎり、「あだ名」がなくなった社会にも日本人は案外すんなりと、すみやかに順応できてしまうのかもしれない。