地味にではあるが、いまだ根強く流通し続ける「美魔女」なるワードについて、あらためて深く考察してみよう!

 

「美魔女はモテるのかモテないのか」みたいなことについて論じる記事を、「大人の女性に向けて、面白く役に立つ情報をお届けする」ことを旨とするネットメディア『コクハク』が配信していた。まずは同記事にあった、男性による美魔女の「否定派」と「肯定派」の意見を紹介してみよう。

 

 
【美魔女はモテない!(=否定派)】

・いくら綺麗でも(実)年齢は変えられない

・年相応の服装をしたほうがいいと感じる

・SNSなどでの自撮り写真を投稿する必死さに引く

・年齢を重ねているより、若い美人のほうがいい

 
【美魔女はモテる!(=肯定派)】

・見た目が綺麗に越したことはない

・大人の女性の魅力が出ている

・自分を磨こうという向上心が素晴らしいと思う

・自分に自信がある女性は魅力的

 
次に「モテる美魔女」と「モテない美魔女」の違いについても以下のような“推論”が。

 

 
・美(外見)だけでなく内面を「磨いている」or「磨いていない」

・選ぶファッションが「自分に合ったもの」or「若く見えるもの」

 
そして、最後には「モテる美魔女になる」ための条件として、

 

 
・人の目ばかり気にせず、自分自身が楽しむ

・年下ばかり狙わない

・過去を振り返らない

 
……などを挙げており、

 
「自分軸で今を生きている美魔女はモテる!」

 
……と、結論づけている。ちなみに「美魔女」なるワードの正確な解釈を調べてみれば、

 

 
一般的には「才色兼備の35歳以上の女性」を指し、「魔法をかけているかのように美しい」という意味がある。

 
……とのこと。光文社が発行する女性向けファッション雑誌『美STORY/美ST』から2008年に生まれた造語で、同誌では、

 

 
「年齢という言葉が無意味なほどの輝いた容姿」

「経験を積み重ねて磨かれた内面の美しさ」

「いつまでも美を追求し続ける好奇心と向上心」

「美しさが自己満足にならない社交性」

 
……を備えた“エイジレスビューティー”な女性を「美魔女」の条件としている。

 
なるほど、じつに高邁な定義であり、これらすべてをクリアできる女性なんてえのは、非の打ちどころがない、もはや人間を超えた存在──レプリカントだとかヒューマノイドレベルの存在なのではなかろうか。

 
だがしかし! ネーミングがやたらキャッチーすぎたぶん、昨今は「美魔女」という形容が「外見のアンチエイジングのみに特化した“イタい”女性」にチョッピリの皮肉を込めた揶揄的な“肩書き”(?)へと成り下がっている側面は否めない。

 
そもそもが、自身のSNSに「#美魔女」なんてハッシュタグを付けたり、嬉々として「美魔女コンテスト」に応募したり……と、みずからを「美魔女」と呼称、認定している時点でアウトだと思う。真の「加齢に関係なく魅力的な女性」とは、「美」と「魔」と「女」というたった3文字を組み合わせただけの俗っぽい一過性の流行語とはもっとも極北の位置で、当たり前のように享楽的な向上心を胸に抱き、おそらく「自分を磨いている」といった自覚もなく日々淡々と、あらゆるノルマを果たしているに違いない……?