バラエティ番組『あざとくて何が悪いの?』で続々暴露される「あざとい芸能人」を見ながら、あらためて思うこと…あざといのが何で悪いのか?

 

7月10日に放送されたバラエティ番組『あざとくて何が悪いの?』(テレビ朝日系)で、とある二人の芸能人の「あざとさ」が暴露されるシーンがあった。

 
一人目は、お笑いコンビ『オリエンタルラジオ』の藤森慎吾(38)。(この日に出演していた)お笑いコンビ『南海キャンディーズ』の山里亮太(44)の証言によると、

 

 
「たとえばテープチェンジのときに、技術さんの名前も覚えていて、(技術さんを)名前で呼んだりするとめちゃくちゃ気に入られて、(自分を)カメラで抜いてくれたりする。それをむちゃくちゃ駆使するとかって言ってた」

 
……らしい。そして、二人目は、人気漫画『キングダム』の作者である原泰久氏(46)との破局が最近あきらかになったタレントの「こじるり」こと小島瑠璃子(27)。(やはり、この日に出演していた)お笑いコンビ『ニューヨーク』の屋敷裕政(35)は、こじるりについて、こう証言している。

 

 
(以前共演したとき)休憩中に「屋敷さん漫画、めっちゃ詳しいですよね? YouTubeで紹介しているの見ました。私も漫画大好きなんで、オススメ(作品)教えてください」と声をかけられた。そこで好きな漫画を勧めると小島は「聞いたことはあったけど、読んだことはない。滅茶苦茶面白そう」とリアクション。さらにそのロケが終了し、ロケバスを降りるときに小島のスマホをふと覗いてみると、さっき勧めた漫画を読んでいた。

「買いましたよとか何も言わないんです、逆に。もっと思い出したら、ロケバス最初に乗ったときに『ケータイとか覗かないでくださいよ〜』とか冗談で言ってた。『見るわけないでしょう』とか言って、それでかなりオレ、ほぐれたんですよ。そしたら帰りしなにポッとケータイ見たら漫画読んでて…全部伏線やったんちゃうかな…」(屋敷談)

 
さて。『あざとくて何が悪いの?』は、読んで字のごとく

 
「芸能界をはじめとし、ちまたに蔓延るさまざまな“あざとさ”を披露し合っては、それのどこらへんに文句があるの?」

 
……と、開き直ることを主旨とする番組である。私も(一般的に)「あざとい」と形容される行為自体に「狡猾」だとか「いやらしい」といったイメージを抱くことは、まったくない。とりあえずは「何が悪いの?」「どこらへんに問題があって、どこらへんに文句があるの?」と一蹴しておきたい。他人の「あざとさ」を深読みして、それをトークのネタにするほうがよほど悪質だと思う。

 
かつて私がフジテレビ系の朝の情報番組に出演したとき、インタビュアーを務めてくださった某男性アナウンサーは、当時連載中だった私の原作漫画のことをちゃんと知っていて、収録前に「面白いですね〜」との一言まで付け加えてくれたし、昨今は「あざとさ」の女王的存在とされている、あの田中みな実(34)は、某深夜バラエティで共演する直前に、「山田さん、今日はいろいろご迷惑をかけるかもしれませんが、よろしくお願いいたします」と、わざわざご挨拶に来てくださった。

 
これら一連の“卒(そつ)の無さ”を「あざとい」と表現すべきかどうかはともかくとして、単純に私はとてもうれしかった。

 
藤森が「周囲のスタッフの名前をできるかぎり覚える」のも、こじるりが「オススメしてもらった漫画をその日のうちにダウンロードする」のも、フジテレビの某男性アナウンサーが「私の作品を下調べしておく」のも、田中みな実が「マメに末端の共演者の楽屋まで足を運んで挨拶してくれる」のも、すべては紛れもなく“地道な努力”に裏付けされている“ふるまい”であって、いずれにせよ「他人に喜んでもらうための細やかな根回し」を「あざとい」と呼ぶなら、それはむしろ称賛に値する“褒め言葉“となるのではなかろうか。