次の「◯◯ハラスメント」は「オリハラ」!? 流行るごとに何度でも主張したい「安易なハラ付けはもうやめようよ」

 

「オリンピック・ハラスメント」、略して「オリハラ」ってやつが、今度はプチ・トレンドワードとなりつつあるらしい。

 
連日アスリートたちによる熱戦が繰り広げられている東京五輪──開幕前とは一転して大いなる盛り上がりを見せているが、いっぽうでは五輪やスポーツに興味がない層も当然のことながら少なからず実在するわけで、そんな「五輪とは距離を置きたい派」が「五輪を観てないなんて信じられない派」に対して「感動の押し付けはうんざり」「職場で非国民扱いされる」……などと異を唱える格好で生まれた造語であるようだ。

 
現時点、私のまわりではオリンピアンたちの一進一退についてギンギンにまで熱く語る輩(やから)は一人もおらず、せいぜい「13歳のスノボの子、可愛かったよね」「ニシコリのダブルスって珍しいよね」「(野球の)サカモトって阪神ファンからしたら憎らしい選手だったけど、味方につけたらやっぱ頼りになるよね」……程度の一言二言で話題が終わってしまうケースが大半で、まあ「積極的に観戦したいとも距離を置こうとも思わない中間派」に属する私としては、この五輪開催期間中も穏やかな日々を幸いなことに(?)過ごせているわけだが、おそらくいるところにはけっこういるんだろう。「盛り上がって当然」と言わんばかりに「同調圧力」という名のアツを無自覚に他人へとかけてくるタイプのヒトたちって……。

 
さて。こうした風潮が急速的に蔓延するなか、作家の乙武洋匡氏(45)が自身のツイッターで、この「オリハラ」について以下のような私見を述べていた。

 

 
「何でも『ハラスメント』と表現してしまうと、本当に根絶しなければならないセクハラやパワハラの存在が軽んじられてしまうのではと危惧しています」

 
私もまったくもってそのとおりだ……と、乙武氏が抱く「危惧」に激しく同意したい。激しく同意したいがゆえ、「TELハラ(=テレフォン・ハラスメント)」「エンハラ(=エンジョイ・ハラスメント)」……と、新しい「◯◯ハラ」が世に流通する(兆しが見える)たびにそれを戒めるコラムをこれまでも執拗に寄稿してきた。これからもたぶん事あるごとに何度でも書き続けるつもりである。

 
「新入社員が先輩より先に電話を取らなければいけない」という“暗黙の了解”を強いられる「TELハラ」に、「もっと仕事を楽しまなきゃ!」みたいなポジティブシンキングを上司から促される「エンハラ」……そりゃあ、面倒なのはよくわかる。が、正直それくらいは我慢できるだろ? もちろん「なんでオリンピックで感動できないわけ?」と、一切の疑問も抱かずに他人を問い正すことができる無神経さも全然「我慢が可能」の範疇内だと、私は思う。

 
これらのたかだか「うっとおしい」レベルの言動に、なんでもかんでもいちいち「〜ハラ」付けしていたら、場合によれば「本当に人を社会復帰ができないギリギリの瀬戸際まで追い詰める深刻なハラスメント」までもがカジュアルなニュアンスを含んでしまう。

 
この乙武氏のツイートを後追いする記事の下にあったヤフコメ欄に、なかなか面白い、ある“提案”があった。

 

 
逆にパワハラとセクハラの言葉が軽すぎるんだと思う。「組織内恫喝」とか「卑猥行為」とか、内容と程度次第では犯罪に当たるとわかる言葉のほうがいいんじゃないの。

 
なるほど……それはそれでアリかもしれない?