前半戦は絶好調だった我が阪神タイガースが、ここにきて失速気味だ。
“戦犯”の一人としてもっとも多く名指しされているのは、四番候補でありながら打率.238、得点圏打率.202……と、いずれも規定打席到達者のなかではリーグワーストの大山悠輔内野手(26)だが(※9月2日現在)、その大山選手が9月1日の対中日戦で、ようやく同点の6回2死一、三塁から決勝打となる右前適時打を放ち、連敗を4で止めた。だが、そのニュースを報じるネット記事下にあるヤフコメ欄には、まだ
「タイムリーヒットをやっと一本打てただけじゃあねぇ…」
……的な厳しいコメントが、おおよその9割以上を占めていた。
なかなか調子の上がらない大山選手を頑なにスタメンで使い続ける矢野阪神監督の起用法には、いろいろと批判もあるだろう。が、我々のような“外野”から結果のみしか見ていない“素人”と違い、一日中付きっきりで選手の状態を精査している矢野監督をはじめとする阪神首脳陣には、“玄人”ならではの“なにか”を大山選手に見いだしているのかもしれない。ゆえに、私は公に発信するメディアで球団の戦略云々を迂闊に語る気はさらさらない。ただ、誰もが気軽に発言できるまで身近となったインターネットの世界で、こうした誹謗中傷をあびるのも“プロ”の定め──ある程度はしかたがないとも思う。
しかし、そのヤフコメ欄に、以下のような主旨で大山選手を揶揄するコメントがあった。
「ノースリーで見逃すというピッチャーに対するマナーを破って打っただけのボテボテのヒットでヒーローはないだろ!」
たしかに、大山選手の決勝打は「スリーボール、ノーストライク」のカウントから打ったものである。しかし、「ノースリーで打ちに行くのは野球のマナーに反している」ってくだりは、カンペキに間違い! バッターがノースリーになった次の球を(原則として)見逃すのは、
・一球でも多く投げさせて相手を疲れさせるため
・ヒットが打てる確率よりフォアボールになる確率のほうが高いから(手を出すなら100%仕留めなければならない)
・仮に次の球がストライクでカウントが3-1になっても打者有利の立場は変わらない(逆にノースリーで凡打したら苦しかったピッチャーを助けてしまう)
……などが理由として挙げられ、「マナー」なんて生易しい配慮が介入するスキは1ミリもなく、「とにかく相手が嫌がることを徹底して行う」といった発想からくる“せめぎ合いの一環”にほかならない。
つい最近、私が寄稿したコラムで、
いくら「ネットの書き込みはスピード重視」とはいえ、一応は世界へと公的なセルフアピールをするのだから、やはり“入稿”する前に誤字・脱字や誤った記述をチェックするくらいの作業を書き手側は怠らないでほしい。
とくに、特定の人物をこき下ろす場合、せめて凡ミスだけは徹底的に避けるよう極力の注意を払うべきだと思う。
いっそ、「明確な誤字・脱字や誤った記述があるコメントは全部削除する」といった決まりを定てみればいかがだろう?」
……みたいなことをヤフコメ欄に対して提言したばかりだが、もう一度繰り返して言いたい。たとえ“無記名”であっても、他人の悪口で憂さをはらしたいなら、書いた文章を“出す”前に見直して「明らかな誤りを正す」くらいの用心深さ、慎重な姿勢は持ち合わせてもらいたい。