サウナ初心者に朗報!? 「サウナは体に悪くない」ということを説いてくれる参考書としての『サウナのトリセツ』

 

いきなりではあるが、私はハッキリ申して「サウナ初心者」だ。

 

去年2020年に『温泉マイスター』の資格を取得するまでは、サウナ室に5分以上こもることができなかったし、水風呂だって“苦行”以外の何物にも思えず、一度も足先を浸けたことさえなかった。しかし、大分県の別府まで温泉マイスターの試験を受けに行ったとき、同行していた盟友から、

 

「サウナの醍醐味もわからん人間が温泉マイスターを語るべからず!」

 

……と(けっこう真剣に)叱責され、その日以降、何度かのチャレンジを経て、今ではサウナ室には15分くらいこもれるようになり、水風呂にも入れるようになった。

 

たしかに、サウナ室でじっくりと体を蒸したあとの「水風呂→外気浴」のコースは爽快このうえなく、

 

「こんなにも素晴らしい境地をこれまで知らなかったなんて…!」

 

……と数十年間、還暦間際に到るまで頑なに水風呂を拒絶し続けてきた自分に、とにかくひたすら後悔の念を抱くばかりである。

 

いっぽうで、“素人考え”として「人間の体を高温から低温へと急激に環境変化させる行為」が、はたして本当に“健康法”として正しいのか……といった一抹の不安が、ずっとよぎりもしていた。

 

(公式の)「サウナ大使」の肩書きをも持つ鬼才クリエイター・タナカカツキ氏作画の『マンガ サ道〜マンガで読むサウナ道〜』(講談社)は、昨今のサウナブームを牽引したとされる名著だが、この『サ道』は、どちらかといえば

 

「サウナで得られる“健康”より、サウナで感じる“恍惚感”」

 

……を重点に描かれた、エッセイに近い作品であり、その一種のトランス状態をモノクロマンガという手法で、あそこまでサイケデリックにビジュアル化してしまうカツキさん(※私の著書でイラストを描いてくださったこともある)の表現力には恐れ入るばかりではあるものの、“健康”に対する言及はさほど詳細ではなかった印象を受ける。

 

もちろん、それを批判しているわけでは決してなく、むしろ積極的なかたちで健康指南の要素を取り入れたマニュアル的なテイストを目指していたら、せっかくのカツキさんの持ち味を台無しにしてしまう中途半端な自己啓発本へと成り下がった可能性もなくはない。

 

『サ道』の2巻に登場する、サウナにハマった若くて仕事もデキる爽やかイケメンは、サウナ室で汗にまみれながら、こう語る。

 

「僕は本来怠け者なんです。健康のためにサウナに来てるなんてとんでもない…ただ快楽を貪っているだけです」

 

つまりがそういうことなんだろう。

 

さて。今、私の眼前に、知人であるフリーランスの編集者から「もしよろしければ読んでみてください」と自宅に届いた一冊の単行本がある。タイトルは

 

『自律神経の名医が教える! サウナのトリセツ』(著者:小林弘幸 学研プラス刊/1540円・税込)。

 

 

オビにはカンニング竹山の推薦文、それに

 

「体と心が本当に“ととのう”医学的に正しいサウナの入り方!」

 

……とのキャッチコピーが。順天堂大学医学部教授の肩書を持つ小林弘幸先生曰く、「健康とは(極論)血流がよいこと」であり、

 

「サウナはその“よい血流”を促すための、血管の筋トレだ」

 

……と断言する。そして、「サウナで血管の筋トレをすること」による、さまざまな“健康”への波及についての医学的論述が、著書内では懇切丁寧に記述されている。けれど、サウナに「恍惚」「トランス」「快楽」を求める私としては「サウナが健康によい」──もっと正確なニュアンスに置き換えれば、

 

「サウナは決して体に悪くはない」

 

……と“安心”できる根拠を専門分野の見地から裏付けていただいただけで、もう十分なのだ。

 

あと、根が貧乏性(笑)な私ゆえ、「ぼーっとしているしかないサウナ室で行えるストレッチ」を多く紹介してくださっている項は、とてもありがたかった。「やさしいサウナの参考書」として、私と似たようなキャリアの途中で彷徨う“初心者サウナー”にこそ、ぜひオススメしたい。

 

※高血圧など生活習慣病のある方は、サウナを利用する前に必ず医師にご相談ください。