なにかの情報バラエティ番組が
「若者がウザいと思うおじさんLINEの文面」
……みたいな主旨の特集を組んでいた。10〜20代の女子たちからリサーチした「お父さん・お母さん世代にありがちなLINEのやりとり」の“ダサい実例”をいくつかを紹介し、それらを見て中高年のコメンテーターらが「あ、オレやってる!」「アタシにもおぼえがある…」……などと、自虐的なリアクションとともに苦笑いをこぼし、その様子を見てMCや若手のコメンテーターが嘲笑混じりのツッコミを入れ、場を収めていく……といった流れの、すでに何度も目にしたおぼえがある、ありがちな体裁であった。
で、この「ありがちな体裁」は、原則として「おじさんLINE=誤」「若者LINE=正」といった関係性で成立しているわけだが、「何度も目にして」いるうちに、来年還暦を迎える初老男子の私としては、そんな“勧善懲悪”の結論に対して、ちょっとした疑問が頭をもたげはじめてもいる。
「はたして、おじさんLINEはすべてが“悪”なのか? 稀には“善”なケースもなくはないのではないか!?」
……と。たとえば、私は拙著『モテと非モテの脳科学〜おじさんの恋はなぜ報われないのか〜』(ワニブックスPLUS新書/菅原道仁共著)で、女子高生の意見を参考にしてラインナップした「おじさんLINEの特徴」ってヤツを、箇条書きにしたことがある。とりあえずは、その13項目をご覧になっていただきたい。
(1)やたら句読点が多い
(2)顔文字・絵文字を乱用
(3)スタンプも多用
(4)若い女子を「〜ちゃん」付けで呼ぶ
(5)語尾が「〜かい?」「〜かな?」で終わりがち(=なぜかお伺いを立てる系)
(6)文章が総じて長い
(7)自分のことを「おじさん」と呼ぶ
(8)相手の私生活を探るような質問がさり気なくまぶされている
(9)すぐ「ディナー」に誘う
(10)ときにストレートすぎる告白
(11)妙にカタカナを使い分ける
(12)「?」「!」マークが赤色
(13)若者のトレンドに中途半端に迎合
さて。いかがだろう? あきらかに「×」なものも、そりゃあたくさんある。(5)の「なぜかお伺いを立てる系」だとか、(7)の「自分のことをおじさんと呼ぶ」だとか、(9)の「すぐディナーに誘う」だとか……。(4)の「(若い)女子を〜ちゃん付けする」や、(8)の「私生活を探る質問の挿入」や(10)の「ストレートすぎる告白」も「キモい!」と言われりゃやや気持ち悪いし、(2)の「顔文字・絵文字の多用」や、(6)の「文章が長い」も、ライブチャット的な要素の強いLINEにおいては、たしかに微妙だったりする。
しかし!(3)の「スタンプ」なんかは「多用」さえしなければ、やりとりにピリオドをつける役割としては今でも十分に有効だし、(1)の「句読点が多い」と、(12)の「?・!マークが赤色」(=ラインの文面がカラフル)は、「文章の読みやすさ」という見地からすると、文字を打つ際の多少の手間さえ惜しまなければ、
「コッチのほうがええやんけ!」
……と、つい声を大にして主張したくなるのだ。
とどのつまり、一番ダメなのは(13)の「若者のトレンドに中途半端に迎合する」こと。「我々中高年世代のほうが正しい」場合だって絶対にあるはず……。そして、そう最終ジャッジをくだしたなら、堂々とそれを貫きとおせばいいのではなかろうか。