野球評論家の張本勲さん(81)が12月26日、『サンデーモーニング』(TBS系)で23年間レギュラーをつとめた(スポーツコーナーの) "ご意見番" のラスト生出演を果たした。
張本さんは同コーナーで故・大沢啓二さんと選手のプレーを「喝!」「あっぱれ!」と批評して人気を集め、2010年10月7日に大沢さんが78歳でお亡くなりになったあとは、 "相方" は日替わりで一人レギュラー出演をしてきたが、今年11月28日に、
「私の都合でシニア人生をゆっくり過ごしたいんですよ。したがって、この番組のレギュラーを今年いっぱいで卒業します」
……と、年内の降板を明かしていた。
"最後の相方" としてゲスト出演したのは福岡ソフトバンクホークスの王貞治球団会長。さらには、サッカーの三浦知良氏、大相撲の間垣親方(元横綱・白鵬)、野球界からはイチロー氏から、VTRでメッセージが寄せられていた。
ワンちゃんにキングカズに(元)白鵬にイチロー……と、各スポーツ界の錚々たるレジェンドが続々と登場──よくよく考えてみると、一番組の一コメンテーターが番組を "卒業" する "だけ" にしては、あまりに豪華絢爛すぎるラインナップである。これだけの "大物" を一同に揃えるのは、もしかすると紅白歌合戦ですら厳しいかもしれない。
下手すりゃ週ごとにネット上で「プチ」なり「大」なりの「炎上」を繰り返してきた……と言っても過言ではない、張本氏の一連の、時には「暴言」とも揶揄されてきた「喝!」を交えた「放言」が、いかに "現役のアスリート" を奮い立たせていたかがあらためて確信できる、まさに「神回」と呼んで相応しい感動のオンエアだったのではなかろうか。
「最後ですから。同級生ですから、送り出したいと思って…」
……と王会長からはねぎらいの言葉が。「もうお辞めなさい。若い選手に譲ってあげないと」と2015年に「喝!」を受けた(当時48歳だった)カズ氏(※同発言は大炎上。その直後、「もっと活躍しろ! と言われているんだと思います。激励だと思って頑張ります」と本人自らがコメントし、それを聞いた張本氏が「カズに『あっぱれ!』をあげてください。こんなことを言う人がいるのかね」と脱帽した)からは、
「その節は叱咤激励ありがとうございました。これから張本さんの『喝!』が聞けなくなると思うとちょっと寂しいですけど、張本さんに早くお辞めなさいと言われないようにこれからも頑張りたいと思います。ありがとうございました」
……との感謝の言葉が。さらにはイチロー氏からは、
「張本さんロス続出しますね。これまで特に我々野球界の後輩に厳しいお言葉をいただいてきました。どのほとんどが叱咤でもあり激励でもあったと感じております。意図的に張本さんが厳しいスタンスを取られてきたその姿勢はまさにあっぱれだったと思います。それは張本さんにしかできないことであり、これからも出てこないと思います。しかし、このコーナーは喝があるから面白い、そんな側面もあるのだと思います。だから最後も盛大な喝をいただきたいので、このメッセージをお送りします。『ハリー、お疲れさまでした』またいつか、どこかで…」(※その直後、張本氏はイチロー氏の要望どおり「イチローに喝! 年上を呼び捨てしているわけですから、これは喝だ!」とひときわ大声の「喝!」入れをした)
……との、洒落たメッセージが。
世論を巻き込んだ幾度もの大炎上にも、
「全然、そういうのは知らないんですよ。見ないから」
……と、どこ吹く風状態で、
「思い出したらあっという間ですね、楽しかったね、私はいい人生を送らせてもらいました。こういう番組に出してもらったTBSには心から感謝してます」
……と〆た張本氏。とは言え、ああもハッキリと持論を絶えることなく定期的に、淀みなく主張するのは相当のエネルギーを要したことだろう。80歳を越えてまでその揺るぎない姿勢を貫きとおした張本氏の体力には、心底から惜しみない「あっぱれ!」を贈りたい!
……ってなわけで、私のここcitrusに寄稿するコラムも今年はこれで最後になります。毎回、もしくはたまーの気まぐれに読んでくださっていた親愛なる読者の皆さま、あと、毎日の怒涛の入稿にお付き合いくださったcitrus編集部の皆さま、本当にありがとうございました。いよいよ還暦を迎える来年も今日フィーチャリグした "張本スピリッツ" を見習い、「いい老害」を目指して頑張りますので、引き続きのご贔屓のほど、ぜひともよろしくお願いいたしますm(__)m