すわ! ワカメしゃぶしゃぶが「◯◯◯○◯◯◯」に!? 究極のシンプル料理に潜む、とある一つの“落とし穴”(?)

 

以前、Twitterだかなにかのテレビ番組だかは忘れたが、こんな論争が、にわか盛り上がっていた……記憶がある。

 

「あなたは市販のカレールーに隠し味を入れる派? 入れない派?」

 

「入れる派」の人々はトマトやらチョコレートやら赤ワインやらウイスキーやら生姜(チューブ)やらタバスコやら醤油やらミルクやら……などの “秘伝の隠し味” を「絶対に美味いから!」と激オシしており、いっぽうの「入れない派」の言い分は「メーカーが試行錯誤を重ねて商品化したルーこそが一番美味しいはず」というものであり、もちろんのこと、どっちかの派がどっちかの派を完膚なきまで叩きのめすような殺伐とした対立の雰囲気では決してなく、おたがいの派の主張を「それはそれでアリだよね」と尊重し合う、なかなかにほのぼのしいやりとりであった。

 

ちなみに、私は典型的な前者の「入れる派」であって、「隠し味」と銘打たれる物体はとにかくなんでもかんでもブチこみ、もはや原型をとどめないほどの “別の料理” へとカスタムアップしてしまうタイプの人間だったりする。そして、私みたいな “加算型” の人間が料理をする際、けっこうヤラかしてしまいがちなのが、以下に述べる “変体のパターン”  だ。

 

最近、近所に『魚富士』という、スーパーじゃあり得ないほど安くて新鮮で旨い魚介類を提供してくださるナイスな魚屋さんを発見した。

 

この日は1パック100円ちょっとの山盛りの生ワカメを購入し、究極のシンプル料理「ワカメのしゃぶしゃぶ」をつくってみた。生ワカメならではのシャキシャキ感がじつに絶品で、大満足の味わいだった。シン・ゴジラ調に言えば「第一形態」ってヤツである。

 

しかし、欲が深いタチの私は「せめて野菜は摂取したいよね」ってことで、それに「白菜」を足すことに……。「第二形態」である。

 

 

次に、「豆腐だったら入れても味に影響はないよね」ってことで、絹ごし豆腐と白長ネギも……。この時点で「究極のシンプル料理」は単なる「(ワカメ入りの)湯豆腐」へと「第三形態」化する。

 

さらに、モノが捨てられないタチの私は、そのワカメの滋味をたっぷりと吸い込んだスープを一日寝かせ、「コイツに魚を入れるとむっちゃ重厚な出汁が取れるよね」と、翌日にやはり『魚富士』で購入した真鯛とタラとサワラの切り身……それに、エノキ茸とマロニーも投入。「第四形態」は「魚介の潮鍋」!

 

さらに、さらに! 「ついでに牡蠣も入れちゃおっか」「でも、塩味じゃあ牡蠣の味に負けちゃいそうだよね」「じゃあ味噌で味付けしちゃえ」……ってことになって、ついでにイワシのつみれや鶏肉だんごやニラやごぼう……隠し味にはバターと豆板醤を……なんてことになって、結局のところは「味噌ちゃんこ鍋」という名の「最終形態」が誕生するのだ。(※〆にラーメンを入れたら海鮮味噌ラーメン!?)

 

さて。今回のこの心底どーだっていい原稿を最後まで長々と読んでくださった親愛なるcitrus読者の皆さまには感謝の気持ちしかないのだが、私は私のこーいう「潔さの欠如に起因する無駄なチャレンジ精神」が、案外嫌いじゃなかったりする。はい、ホントどーだっていいお話でした(笑)?