中高年男性向けのライフスタイル情報誌『GOETHE(ゲーテ)』が運営する公式ネットサイトが、俳優の佐藤浩市(61)のインタビュー記事を配信していた。
タイトルは「ジジイたちの遊んでる姿が同世代や若い世代の刺激になればいい」──表紙写真にはご本人がハットとサングラスでキメた、いかにもモテそうな程良く枯れたジェントルマンのモノクロ写真が……!? まさしく『GOETHE』が求めている(に違いない) “理想の年(とし)の取り方” の一つの好例……なのではなかろうか。
昨年末には、キャリア初となるヴォーカル・アルバム『役者唄 60 ALIVE』をリリースしたらしい。そんな “攻めの姿勢” を「60歳」を過ぎても今なお崩さない佐藤浩市は、
「今日だって、この撮影の前に、宇崎(竜童)さんと木梨(憲武)、中井(貴一)と歌ってきたよ。みんなジジイだし、馬鹿だなって思いつつも、そういう面白さが伝わってくれればいい。こんなジジイたちが遊んでるんだなって。それが同世代に対しても、若い世代に対しても刺激になればいいんじゃないのかな」
……と、同インタビューを〆ている。
「ジジイが遊ぶ」──じつに素敵なキーワードだと思う。じつはゴメスとほぼ同世代だったりする佐藤サンが、自身のことを「オッサン」どころか「ジジイ」と形容できる、その “潔さ” の境地にはまだ私は到っていないのだけれど……まあ、佐藤浩市クラスのイケてる熟年大物俳優なら、逆にそう言い切ってしまうことにも躊躇がなくなるのかもしれない。
もちろんのこと、この私だって「加齢を重ねる自分のライフスタイルが同世代や若い世代の刺激になる」くらいの充実した毎日を送れたらうれしいな……とは常々願っている。
温泉マイスターの資格を取って(コロナ禍が収束したら)全国の名湯や秘湯を巡るのもいいだろう。草野球で一生に一度だけでもホームランが打てるように筋トレに励みバッティングフォームを大胆に改造するのもいいだろう。魚屋で買った新鮮な魚を捌いて食卓を飾り、ナチュールなワインをたしなむのもいいだろう。その行為がなんであれ「心底から楽しんでいる」ということが、まずはポイントなのだから……。
だがしかし! よりいっそう「同世代や若い世代の刺激になる」……あと一歩踏み込んだ表現をするならば「同世代や若い世代に本気で羨ましがってもらう」ための一番の “チャレンジ” とは──やはり私は「ジジイになっても一人の魅力的な女性を、真剣に他のライバル男性から奪還する」みたいな「現役感」という名の “大人げなさ” を示すことだと考える。
たとえば、野郎どもがバーあたりで束になって口説きに入っている妙齢のレディを「じゃあ、そろそろ…」と連れ出したりできたら、もう完璧。合コンで、周囲の若い男子たちを姑息な手段で出し抜くのも、必死のパッチでお目当ての女子を眼前にして見苦しく競い合うのもアリだろう。
仮に、そのバトルに敗れ、ものの見事に “ライバル” がお持ち帰りを果たしたさまを横目で見ながら、悔しさのあまり路地裏で地団駄を踏むのも悪くない。とにかく「土俵に立つこと」が大事なのだ。そして、こうした若気の至りを捨てきれないジジイの背中からにじみ出る “敗残の美学” もまた、きっと同世代や若い世代の心に響くエレジーなのである。「なのである」って……マジで(笑)?